どう思うか
ここまでのあらすじ
笑っていないと、牢屋に入れられてしまう国があって、僕は、入れられてしまったんです。
ただし、みんなを笑わせられたら、出してもらえるらしいんです。
笑えない刑罰です。
「は、は、は、は、は・・・・・・・・・・」
薄暗い牢獄の中、僕の笑おうとする声だけが響きます。
でも、囚人たちの反感が、谺(こだま)して来るだけです。
みんな、空腹で、死にそうなんです。
そんな中で、笑えるわけがないんです。
でも、今、笑わなければ、僕も、やがて空腹で、笑えなくなります。
それに、この牢獄って、僕の人生そっくりです。
毎日、笑わないで、生きてきたんです。
それで、笑って生きたかったって、思ったんですよ。
「は、は、は、は・・・・・・・・」
そのとき、囚人のひとりが、言ったんです。
「本当に笑えるのは、王様だけだよ」
嘲(あざけ)りを含んだ言い方で、牢獄内に、笑った人もいます。
あの王様は、キチガイだからっていう皮肉なんです。
その瞬間、僕、ハッとしたんです。
「だったら、王様になったらいいんだ」
「キチガイになるってことか?」
「だって、どう思うか、自由じゃないですか?」
「だからって、現実は、何も変わらないぜ」
「そう思うから、現実の家来だったんですよ。
でも、どう思うかは、自由でしょ?」
僕は、僕の思いの家来だったって、気づいたんです。
思いの方が、王様だったんです。
それで、逆に、思いの方を、家来にしてやろうと思ったんです。
そう思ったら、どんな現実も、結局は、どう思うかだって、思ったんです。
ー つづく ー
お読みいただいて、ありがとうございます![]()
![]()


