6話 運命の糸
ここまでのあらすじ
大学の1年生のクラスで、仲良くなった友だちから、恋の相談を受けました。
ところが、彼が好きになった女の子は、同じクラスなんですけど、全然カワイクないんです。
でも、彼には、世界一カワイク見えるらしくて、告白ができないでいるんです。
あまりに、しつこく、彼が、恋の相談に来るので、ついに、僕は、キレます。
「彼女に好きって言えって、何百回も言ったよな?
今度、来るときは、好きって言ってから、来い。
もし、言わなかったら、もう、オレたちは、友だちじゃないからな。 覚悟しとけよ」
僕にしてみれば、好きって言えば、絶対に、うまくいくって、思っていたんです。
だから、きつく言ったわけです。
彼と、彼女は、運命の糸で、結ばれているって、信じていたからです。
ところが、彼が、彼女に、好きって言ってみると、フラれてしまいました。
一番、驚いたのは、僕です。
「ありえない・・・・・・」って、つぶやいたほどです。
彼は、死にそうです。
「はやまるなよ?
彼女に、聞いて来てやるから。
バカなこと、するんじゃないぞ?」
本当に、自殺しかねない様子なんです。
それで、僕は、彼女に、なぜ断ったのか?を聞きに行ったんです。
ところが、彼女は、答えないんです。
うつむいて、ときどき、上目遣い(うわめづかい)に、僕を見るだけです。
僕は、どんなに彼が、彼女のことを好きか、どんなにカワイイ、美しいって、思っているかを、1時間くらい話しました。
ところが、彼女は、一言も、言わないんです。
話しているうち、僕は、内心、気味の悪い女だな・・・・って、思っちゃったんです。
だって、一言も、言わないんですよ。
ただ、上目遣いで、見るだけなんです。
正直、彼は、断られて、よかったんじゃないか?って、思えてきたんです。
帰り道、僕は、彼を、どう慰めるか?ばかり考えていました。
でも、もう、すっかり、彼の恋を応援する気持ちは、なくしていました。
もしかしたら、彼女は、本物の原始人かもしれないって、思ったんです。
それで、言葉が通じなかったって、気がしたんです。
ー つづく ー

