「自分は何がしたいのだろう」

「どんな仕事が向いているのだろう」

「これから、どんな人生を歩んでいけばいいのだろう」

そんなことを考えることは、誰にでもあるのではないでしょうか。

人生には、進学、就職、転職、結婚、引っ越しなど、さまざまな選択があります。

今の時代は、昔と比べて選択肢も増えています。

働き方も多様になり、インターネットを使えば、世界中の情報に触れることができます。学びたいと思えば、学校に通わなくても、本や動画、オンライン講座などで学ぶこともできます。

これほど多くの選択肢があるにもかかわらず、「自分が何をしたいのか分からない」という人は少なくありません。

なぜなのでしょうか。

やりたいことが最初から分かる人は、実は少ない

世の中には、「子どもの頃から夢があった」「学生時代から目指していた仕事がある」という人もいます。

しかし、誰もがそうではありません。

就職するときも、「特にやりたいことはないけれど、条件が良かったから」「周囲がその仕事を勧めたから」「安定しているから」という理由で仕事を選ぶ人もいるでしょう。

それは決して悪いことではありません。

生活していくためには、収入や安定性を考える必要があります。

ただ、そこで一度立ち止まって考えてみることも大切です。

「自分は本当は何をしたいのだろう」

「どんな人生を生きたいのだろう」

こうした問いに、すぐに答えられる人ばかりではありません。

むしろ、自分の進む方向がはっきりしている人のほうが少ないのかもしれません。

方向性は、考えているだけでは見つからない

方向性を見つけようとして、一生懸命考えることは大切です。

しかし、考えているだけでは、なかなか答えが出ないことがあります。

なぜなら、自分が何に向いているのか、何を面白いと感じるのか、何を大切にしたいのかは、実際に経験してみなければ分からないからです。

たとえば、興味を持って始めた仕事があったとしても、実際にやってみたら、自分には合わないと分かるかもしれません。

反対に、それまで興味がなかったことをやってみたら、意外と面白くて、もっと知りたくなることもあります。

人から勧められて始めたことが、自分の人生を変えるきっかけになることもあります。

つまり、方向性は頭の中だけで発見するものではありません。

行動することによって、自分自身について知っていくのです。

「向いていない」と分かることも大切な発見

何かに挑戦して、うまくいかなかったとき、

「失敗した」

と考えてしまうことがあります。

しかし、それだけではありません。

「自分には向いていない」

と分かったことも、一つの大きな発見です。

たとえば、ある仕事を経験して、

「この仕事は自分には合わない」

と分かったとします。

すると、次に選ぶときには、その仕事を選択肢から外すことができます。

これは前進です。

一つの道が違うと分かれば、残された道が少し明確になります。

そして別のことをやってみる。

また違ったら、別のことを試してみる。

そうやって少しずつ、自分に合う方向へ近づいていくことができます。

人生では、成功した経験だけが役に立つわけではありません。

うまくいかなかった経験も、自分の方向性を教えてくれる大切な材料になります。

「やりたいこと」より「気になること」から始めてもいい

「自分には、やりたいことがない」

そう思っている人もいるかもしれません。

しかし、「人生をかけてやりたいこと」を最初から探す必要はありません。

まずは、

「少し気になる」

「なぜか興味がある」

「もっと知りたい」

という小さな気持ちを大切にしてみることです。

本屋で気になった本を手に取ってみる。

興味のある分野について調べてみる。

やってみたいと思ったことを、一度だけ体験してみる。

今まで話したことのない人の話を聞いてみる。

行ったことのない場所へ行ってみる。

新しい経験をすると、自分の中に新しい情報が入ってきます。

その情報が、自分の方向性を考える材料になります。

人生の方向性は、最初から一本の道として存在するわけではない

人生の道を考えるとき、「正しい道がどこかに存在していて、それを見つけなければならない」と考えてしまうことがあります。

しかし、実際にはそうではないのかもしれません。

最初から正解の道が決まっているわけではありません。

歩きながら、自分で道を作っていくこともできます。

最初は東へ向かって歩いていたけれど、途中で別の景色を見て、北へ進みたくなることもあります。

一度選んだ仕事を辞めて、別の仕事に進むこともあります。

若い頃に目指していたものと、年齢を重ねてから目指すものが変わることもあります。

それでいいのです。

方向転換は、失敗ではありません。

新しい経験によって、自分の考えが変わったということです。

大切なのは「正解を見つけてから動く」のではなく、「動きながら考える」こと

人生について考えるとき、

「正しい答えが見つかったら行動しよう」

と考えてしまうことがあります。

しかし、それではいつまでも動き出せないかもしれません。

正解が分からないからこそ、まず小さく動いてみる。

そして、

「これは違う」

「これは面白い」

「もっとやってみたい」

「この環境は自分には合わない」

と感じたことを、一つずつ拾っていく。

その積み重ねによって、少しずつ方向が見えてきます。

行動して、感じて、考えて、また行動する。

その繰り返しが、自分の進む方向を教えてくれます。

方向性は「見つけるもの」であると同時に「作っていくもの」

自分の進むべき道が分からないことは、決して特別なことではありません。

何歳になっても、人生の方向を迷うことはあります。

大切なのは、迷っている自分を責めることではありません。

分からないなら、少し動いてみることです。

一歩進めば、今まで見えなかったものが見えてきます。

さらに一歩進めば、また違う景色が見えてきます。

その中で、自分に合うもの、合わないもの、大切にしたいもの、もう必要ではないものが少しずつ分かってきます。

そして、いつか振り返ったとき、

「自分はこういうことを大切にして生きてきたのだ」

「この方向へ進みたかったのだ」

と気づくのかもしれません。

人生の方向性は、最初から明確に決めなければならないものではありません。

歩きながら見つけてもいいのです。

やってみて、違ったら方向を変えればいい。

興味を持ったら、少し深く掘ってみればいい。

失敗したら、そこから学べばいい。

何も見つからないときは、もう一度動いてみればいい。

「何をしたいのか分からない」という状態から抜け出す最初の一歩は、完璧な答えを見つけることではありません。

小さくてもいいから、何かを始めてみることです。

歩き始めなければ、見えない景色があります。

そして、歩き始めたからこそ見えてくる道があります。

自分の人生の方向性は、誰かが決めてくれるものではありません。

一つひとつの経験を重ねながら、自分自身で見つけ、そして自分自身で作っていくものなのではないでしょうか。