人は、お金で騙されるのではありません。

本当は、「心」で騙されるのです。

誰かに認めてほしい。
誰かに必要とされたい。
誰かに愛されたい。

それは決して弱さではありません。

誰もが持っている、ごく自然な人間の心です。

だからこそ、その心を利用しようとする人がいます。

最初から騙そうと近づいてくる人は、ほとんどいません。

優しい言葉をかけます。

話を丁寧に聞いてくれます。

「あなたは特別だ」と伝えます。

孤独だった心は、少しずつ安心を覚えます。

「この人だけは私を理解してくれる。」

そう感じたとき、人は心を預け始めます。

そして、信頼が生まれた後で、少しずつ要求が大きくなっていきます。

もっと時間を使ってほしい。

もっとお金を使ってほしい。

もっと協力してほしい。

もっと尽くしてほしい。

それでも相手は、時には優しく、時には少し冷たく接します。

すると人は、「もっと頑張れば、また以前のように優しくしてくれるかもしれない」と期待するようになります。

期待と不安を繰り返すうちに、自分でも気づかないほど、その関係から離れられなくなってしまうことがあります。

これは恋愛だけの話ではありません。

恋愛詐欺。

悪質な営業。

カルト的な勧誘。

依存させるような人間関係。

形は違っても、その仕組みには共通点があります。

人の孤独。

承認されたい気持ち。

愛されたい気持ち。

役に立ちたいという優しさ。

それらを利益のために利用することです。

だから、そこに引っかかった人を「愚かだった」と責めることはできません。

人は弱かったから騙されたのではありません。

人を信じる心があったからです。

本当に守るべきなのは、「騙されない強さ」だけではありません。

誰かに依存しなければ生きていけないほど孤独な社会を変えていくことではないでしょうか。

人は、本当に安心できる居場所があれば、不自然な優しさにすがる必要はありません。

家族でも、友人でも、地域でも、職場でも。

「あなたはそのままで価値がある。」

そう伝え合える人間関係が増えていけば、人の弱さにつけ込む仕組みは、少しずつ力を失っていくはずです。

人の心は、利益を得るための道具ではありません。

人の心は、大切に守られるべきものです。

そして、本当の信頼とは、相手を依存させることではなく、自分の足で歩けるように支えることなのだと思います。