権力を手にした人が、なぜ傲慢になり、良心を失ったかのような振る舞いをするのでしょうか。

それは、その人の資質だけではなく「権力そのものが持つ性質」によるものでもあります。


権力を持つと、人は自分を抑える必要が少なくなります。

「誰も止められない」という感覚が生まれ、内に潜んでいた欲望や傲慢さが表に出やすくなるのです。

心理学の研究でも、権力を持つと他者の気持ちに寄り添う力(共感力)が弱まりやすいとされています。


もちろん、もともとの資質が大きく影響します。

権力は、その人の本性を拡大して映し出す「拡声器」のようなものです。

謙虚な人はより謙虚に、傲慢な人はさらに傲慢に。

だからこそ、リーダーの人格や自省心が大切になるのです。


歴史上、多くの社会が「権力を分ける仕組み」をつくってきました。

なぜなら、権力は人を腐敗させやすいということを、人類は経験から学んできたからです。

「絶対的権力は絶対に腐敗する」と言われるのも、そのためです。


しかし同時に、権力は人を救い導く力にもなりえます。

自分を律し、他者の声に耳を傾け、謙虚に権力を使う人も確かに存在します。


私たち一人ひとりが大切にしたいのは、

「権力を持つ人を盲目的に信じないこと」、

そして「権力を持たなくても、互いに支え合い、正しい声を上げる勇気を持つこと」ではないでしょうか。


権力は人を試します。

けれども、その力の前に屈しない心を持てるかどうかも、また人間の本質なのだと思います。