私たちが生きている世界には、欲望が溢れています。お金が欲しい、地位が欲しい、名誉が欲しい、快楽が欲しい。これらの欲望そのものが悪いわけではありません。欲望は人間の自然な衝動であり、生存のためにも、社会を発展させるためにも役立つものだからです。
しかし、問題は欲望に支配されてしまうときです。欲望を満たすことだけが人生の目的になったとき、人は心を失います。手に入れた瞬間は満たされても、すぐにまた次を求め、心は渇き続けます。欲望には終わりがないからです。
では、その渇きを本当に癒せるものは何でしょうか。
それは「愛」です。
愛は欲望とはまったく違います。欲望は「自分のために相手を使うこと」であり、愛は「相手のために自分を差し出すこと」です。欲望は奪うことによって成り立ちますが、愛は与えることによって輝きます。欲望は刹那的で、愛は永続的です。
欲望に支配される人は、愛を弱さだと勘違いします。犠牲になること、譲ること、与えることを「負けること」だと思います。しかし、実際にはその逆です。愛を持って生きる人こそが、心の自由と充足を手にしています。なぜなら、愛は「奪われることのない富」だからです。与えれば与えるほど、自分の心が豊かになっていく。それは欲望が決して与えてくれない安らぎです。
人間関係においても同じです。欲望でつながった関係は壊れます。利益がなくなれば、快楽が尽きれば、相手は去っていきます。しかし、愛で結ばれた関係は揺らぎません。困難の中でも支え合い、相手の幸せを願い、自分も共に成長していける。愛があるからこそ、人は孤独から解放され、人生に意味を見いだせるのです。
愛は特別な宗教的概念でも、スピリチュアルな空想でもありません。日常の中に存在する、とても現実的な力です。家族を思う心、友を信じる心、誰かの笑顔を願う心。小さな思いやりや感謝が積み重なって「愛」となり、人間らしさを取り戻させてくれるのです。
欲望は人を縛ります。愛は人を解放します。
欲望は終わりなき渇きを生みます。愛は静かな満足をもたらします。
欲望は人を孤独にします。愛は人を結びつけます。
だからこそ、私たちは愛を選ぶべきなのです。
愛を持って生きるとき、人は初めて本当の意味で「幸せ」になれるからです。
