近年、日本では太陽光発電が急速に普及しました。しかし同時に、使用済みパネルの処理という新たな課題が浮かび上がっています。


政府は当初「使用済みパネルのリサイクル義務化」を検討していましたが、2025年夏、その方針を断念することを固めました。最大の理由は、リサイクル費用を誰が負担するのかを巡り、法的整理がまとまらなかったためです。これにより、2030年代後半に大量のパネルが寿命を迎えるとき、処分場の逼迫や不法投棄の増加が懸念されています。


こうした状況の中、2025年8月28日、太陽光パネルリサイクル技術で知られる「新見ソーラーカンパニー」の佐久本秀行社長が49歳で急逝されたというニュースが伝わりました。佐久本さんは、廃棄が難しいとされていたパネルを資源として再利用する技術を完成させ、世界的に注目されていた人物です。その早すぎる死は、環境エネルギー分野にとって大きな損失となりました。


もちろん、政府の政策判断と佐久本さんの死に直接の関係があるわけではありません。しかし、この二つの出来事がほぼ同じ時期に起きたことで、多くの人々が「必要な技術があるのに、なぜ制度が進まないのか」と疑問を抱いています。


日本の太陽光発電は、設備の多くを中国製に依存してきました。その結果、設置時のコストを抑えることはできても、廃棄やリサイクルの体制整備は後回しにされてきました。これは「再生可能エネルギー=環境に優しい」というイメージとは裏腹に、持続可能性に欠ける現実を示しています。


いま必要なのは、単にパネルを増やすことではなく、「最初から最後まで責任を持つ仕組み」を整えることです。発電した後の廃棄や再利用まで見据えてこそ、再生可能エネルギーは真に持続可能な選択肢となるはずです。


佐久本さんの残した技術と志は、まさにその方向性を指し示していました。私たちにできることは、彼の思いを無駄にせず、次の世代にとって安心できるエネルギーのあり方を真剣に考えていくことではないでしょうか。