2024年11月24日、東久留米で実施した
「登校拒否・不登校・中退者のための 進路学習会」
で、体験談をお話しました。
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小平市で2005年から
「学校を休みがちな子のこれからについて考える親の会(略称:ぷらっと親の会)」の
世話人をしております。
わたしの長女は、小学校1年生の2学期から中学卒業まで不登校でした。
小学校・中学校のうちは、不登校でも進級できますが、
義務教育の後の進路は、自分で見つけなくてはなりません。
長女が中学3年になって、さあ、どうしよう、となったとき、
東久留米のどじょっこの会さんの、この「進路学習会」に参加させていただきました。
2004年の秋だったと思うので、ちょうど20年前です。
その節は、本当にありがとうございました!
ということで、わたしの体験談は20年前なので、今とは違うこともあるかもしれません。
そこは、ご容赦ください。
今日は、まず、20年前の娘の高校受験の体験談、
次に、 不登校の間の親の葛藤と気付き、
最後に、「娘の高校進学後」を、お話させていただきます。
<1:20年前の娘の高校受験の体験談>
うちの娘は、小学校1年の2学期に、転校をきっかけに不登校になりました。
義務教育期間のほとんどを不登校児としてすごした「筋金入り」です。
そんな娘が高校受験を考えたとき、大きな問題が三つありました。
第一に、本人の学力で合格できるか。
(通知表はすべて評価不可の「/」)
第二に、入学後授業についていけるか。
(なにしろ小1からの不登校。かけ算九九はなんとかできても、少数・分数はもう怪しい)
第三に,毎日登校できるか
(中3で登校は月に1,2回しかも午後から。完全に昼夜逆転の生活)
中学校の先生は、普通に登校している生徒の進路指導で手いっぱいで、
不登校の子の進学の情報を持っていませんでした。
そこで受験ガイドを見たり、ホームページから資料請求をしたりして、情報を集め、
「通信制サポート校」という学校があることを知りました。
サポート校、皆さん、ご存知ですか?
ここ10年で「サポート校」にも様々な学校が増えたし、
「ネットの高校」など、選択肢が格段に増えました。
まなびリンクという出版社が毎年ガイド本を出してくれていて、参考になります。
さて、うちの娘ですが、サポート校なら、自分のペースで登校できるし、
本人の興味に沿ったコース授業があるので、
それを楽しみに通学してくれるのではないか、と期待しました。
秋になり、志望のサポート校から学園祭の招待状が来て親子で見学に行きました。
生徒の雰囲気も明るく、先生も親切で、全体の印象は良かったです。
ところが、娘の希望の「イラスト・マンガコース」の作品展示を見に行ったら、
彼女の感想は実にシビアでした。
「しょぼい、あたしのほうが上手い。高いお金を払って行くだけの価値はないから、やめる」
一度は決っていた志望がこの時点で一気に白紙に逆戻り。
すでに11月。これからまた一から志望校を探すのかと、正直途方に暮れました。
ちょうどその頃、どじょっこの会の進路学習会を知り、
ワラにもすがる思いで、親子で参加しました。
当日娘は先生方のお話を全く聞かずに、いただいた資料の裏に、せっせと絵を描いていました。
ところが帰り道「定時制なら勉強しなくても入れる。昼に起きても通える。定時制に行く」
と言い出したのです。聞いていないように見えて、実はちゃんと聞いていたんだ、と驚きました。
それから通学可能な範囲の定時制高校を3校ピックアップして、
電話で見学させてもらえるか聞きました。どの学校も親切で、快く対応していただきました。
1月には荻窪駅徒歩5分の荻窪高校を訪ねました。
不安な3点、を聞いてみたところ、
1)1次で受験すれば多分大丈夫。
2次以降は倍率が1倍を越えることもあり、その時は不合格もある。
2)数学と英語は独自問題だが、それはどこまでわかっているかを見るためのもの。
入学後はわからないところまで戻ってプリントなどで面倒をみる。
3)出席日数が足りないとどうしようもないが、
来なくなる生徒はだいたい1学期に脱落して、あとは卒業まで通える。
など丁寧に答えてもらえました。
夏から建て替え工事が始まるという校舎は、
歩くと廊下がギシギシと鳴る年代物でしたが、
帰り道校門を出たところで「あたし、ここにする」と娘が宣言。
「ボロくて居心地がいい」そうで、荻定を受験することに決めました。
不登校の子を連れての高校選びは大変ですが、
現地を本人が確かめることは、とても大切だと思います。
特に、不登校の子は感受性が強く、アタマで納得してもカラダと心が納得しないと動けません。
わたしはよくヤマアラシのトゲにたとえるのですが、
不登校の子は、無理な時は、ヤマアラシがトゲをぶわ〜っと逆立てるように反応します。
学校に通うのは本人なので、本人がダメなら、親がいくらいいと思ってもダメです。
だから、できれば、本人と行って欲しいです。そして、本人が無理なら親は諦める。
自分の意見や、言葉にできない違和感などを、親がちゃんと尊重してくれると信頼したら、
見学なども一緒に行ってくれると思います。
逆に、親がいいと思ったから、子どもではわからないから、と
親の意見をゴリ押しするようなら、子どもは心を閉ざして動かなくなります。
進路選びの前に、親子の信頼関係を築くことが大事かもしれません。
さて、娘の受験の年、都立の入試は2月23日。
事前に東京都教育委員会のHPで調べたところ、荻窪定時制の倍率は0.37倍。
つまり、答案用紙に名前さえ書けば受かるハズ!なのですが、
毎日夜中の2~3時に寝て、昼前に起きる生活だったので、
「受験当日の朝ちゃんと起きられるか」が一番の山場、というなんとも妙な受験となりました。
続き(体験談その2)はこちら →
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