silent 3話 | 好きで、好きで、好き!

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3話。

 

湊斗視点。

 

「すごく好きな友達と、すごく好きな人だったから、

 嬉しかった。」 

「すごく切なくて、ちょっとだけ、嬉しかった。」 

 

 

 

切なかったのは、自分の恋、が叶わなかったからだったと、

思った。

 

よくある、話。

しか知らない私は。

 

 

だけど・・・。

 

「ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、・・嬉しかった。」 

それは強がりにしか思ってなかった。

よくある、話。

しか知らない私は‥‥。

 

 

「この時のことも、想のことも、許せなかった。」

そういう湊斗は、人が好過ぎるがゆえに、

そんな自分を許せなくて、

大学を出るまで、一切の連絡を絶ってしまった想の

後追いをするかのように、

紬に連絡を取らなかったと思っていた。

 

そして。

 

紬のために、癒し動画を検索してたのかと思っていた。

 

でも、この久しぶりの再会の時にすでにそれができていた、

ということは

もしかしたら、一番、癒されたかったのは、湊斗?

 

無理を重ねて、

「期待されてる証拠。」

って、固まった瞳で語る紬を目の前にして、

「無理なことってあるんだよ。無理してやったことって、

 無理なんだよ。

 無理すると、ほんと、全部無理になっちゃうんだよ。」

「やればできる、ってやらせるための呪文だよ。」

「期待と圧力は違うよ。」

という湊斗は、一体、今までどんな経験をして、

わずか23歳で、こんな言葉を獲得したんだろう。

 

人を殴ったこともない、

ましてや殴りたいと思ったことはない湊斗が、

紬にあいさつ代わりに体を触ってくるヒヒおやじ←

には、出会ったら、殴ってしまう、というその言葉の重み。

 

「よく寝て、よく食べるようになった。」 

そこまで回復させたのは湊斗。

きっと、それは・・・・・。

 

あとから分かる、話。

だった。

 

 

「誰かを思い出したような顔でそう言って、」

バイトを始めた紬が

その誰かが、店に来たらどうしよう。そんなことばかり

 考えていた。」

のは、紬を取られたくないから。

そう思っていた。

 

よくある話、しか知らない‥‥から。

 

だから、

二人がいるところを見つけてしまった湊斗が 

必死で、想を追っかけたのは 

 

もう、来ないでくれと、

必死で二人で乗り越えてきたのだからと、

紬をこれ以上、混乱させないでくれ、

=それは自分の気持ちの混乱でもあるから、

という想いなんだとばかり思っていた。

 

よくある話、しか知らない自分は…。

 

そして、混乱した気持ちを抱えたまま、

紬の前から走り去る湊斗との

気持ちのずれを象徴するかのように、

踏切が下りてくる。 

このやたら鮮やかな黄色が、

2人の関係が黄信号になってしまったかのように思わせる。

 

わざわざ二本の遮断機を見せるのは、

想と湊斗の両方においていかれた紬を表している?

 

紬と湊斗の前から去った想のもとに走り寄る桃野奈々。

以前、イヤフォンを届けようとした想に

金持ちなんだから、そんなことしなくていい、

と言い切った強気な彼女。

今回も、全力を見せてくれる。

 

なぜ、わざわざ開けた? 

と思ったら、

 

そういうこと?

すごいな・・・。

 

さらに、湊斗の電話をいやがらせだから、

ブロックしろ、とまで言い切る。

とてもはっきりしていて、強気な性格。

この人といい、手話教室の春尾先生といい、

いろんな概念を覆してくる。

 

「聾者の8割が、聾者同士で結婚するんです。」

「聾者同士の方が、幸せ、ということなんですかね。」

という言葉は、一見、紬に聞かせているようで、

実は自分にずっと言い聞かせているのでは?

 

そして、興味本位で来ているかどうか、を見極めるため?

 

このドラマのセリフの一つ一つ、

どうしても深読みしてしまって

進まないww

 

おまけに左矢印

このドラマは、きょうだいもいろいろ、絡んでくる。

 

湊斗の様子がおかしい、と聞いた紬の弟は

会社帰りの湊斗を待って

「代わりとか、思ってない。好きな人、いなくなったから、

 いる人好きになったんじゃない。ぜったい、ない。」

って、宣言するし、

想の妹は、手話を覚え始めた紬に対して

「健気?ありがたいんだけどさあ、でも、なんかちょっと

 イラっとするよね。

 気分いいのかな。久しぶりに再会して、

 あなたのために一生懸命手話を覚えます、って、

 自分はその間、湊斗くんと呑気に楽しく

 へらへらと生きてきて。」

 

兄の病気で変わったのは、兄だけじゃない。

家族みんながたくさん傷つき、

そして、今でもちょっとしたことに傷ついてしまう。

だから、悪意のある変換をしてしまう。

 

想と紬が、もとに戻るには

この二人の反対?も、なんとかしなくちゃいけない。

 

でも、そもそも、この二人の関係は、戻るの?

2人とも、戻りたいの??

 

そう思ってたら、紬ははっきり想に宣言する。

「佐倉君のこと、高校の同級生としか思ってない。

 今、好きなのは、湊斗。

 佐倉君は違う。好きじゃない。」

その言葉に、

 

1年半?2年?

付き合っても、1回しか呼んでもらえなかった、

しかもそれは自分が頼んだことで、

「くん」づけのままだった自分の名前。

 

「名前を呼びたくなる後ろ姿だった。」

「卒業まで、あと何回呼べるだろう。」

「このまま、友達のままだったら、あと何回だろう。」

そう感じた紬から始めた物語、だったのに、

友達以上の呼び名に変わる前に

終わってしまった物語。

それを、

佐倉が見透かしてしまった瞬間。

 

妹に、もう一回仲良くなれば、と言われたから?

紬に会いに行った想を湊斗が見つける。

 

しかも、その直前、窓から入ったテントウムシを、

湊斗のいつもの優しさで逃がしてしまった時に。

 

テントウムシは幸せの象徴、らしい。

漢字では天道(テントウ)虫、と書くらしく、天照大神のお使いとも言われているらしい。

その、象徴を逃がしてしまう、その時に現れる想。

 

紬は紬で、

買い物帰りにこの坂道。

こんな坂道、今まで出てこなかった。

これも、前途多難な様子を表してるの??

 

「チェリまほ」の坂道と同じかな?と思ってたけど、

ちょっと違うみたい。

あのあたり、いっぱい坂道あるから、

いろいろ、用途に合わせて使い分けてるのかも・・。

 

 

紬の家に、想を招き入れる湊斗。

ビールを差し出すのに、一緒に飲むわけじゃない。

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駆け出してしまった湊斗に、なんかあるの?と聞く紬。

「なんかあるよ。いろいろある。

 簡単に受け入れられないこと、いっぱい。」

おそらく、こんな激昂した言い方を

今までしたことがない湊斗に驚く紬。

 

 

「すんなり受け入れて、手話まで覚えて。

 普通に顔見て話して。」

「すごいよ、すごいよね。」

「紬、想の方がいいんじゃないかって、

 取られるんじゃないかって、

 そう思って、いらいらしてる方が楽だったから。」

 

ん?どういうこと???

 

「想のこと、悪く思えば、楽だったから。」

「友達の病気、受け入れるより、ずっと、楽だったから。」

 

 

「名前呼んで、振り返ってほしかっただけなのに。」

いつも、いつも、その背中を見つめて、呼んできたのは湊斗、

だった・・・。

 

 

きっと、紬以上に。

 

 

呼んだら、振り返ってくれるはずだった。

そして、

 

いつも笑顔で応えてくれるはずだった。

 

笑顔で駆け寄り、

 

そして、

ずっと、一緒に歩いていくはずだった。

 

 

 

 

呼ぶことすら、許してもらえない日々が来るなんて、

誰が思ったことだろう。

 

 

いきなりの、断絶。

 

それは、ある意味、裏切りにも等しい行為。

 

どれだけの、懊悩が湊斗を包んでしまったんだろう。

 

 

もしかしたら・・・。

 

紬を好きなことも事実だけど‥。

 

湊斗にとっては、この欠落を埋め合えるのは紬しかいないから、

紬を支えることで

自分の喪失感を埋めることになったのではなかったのか。

 

そして。

 

それを、湊斗自身が一番わかっていたから、

いつか、それが暴かれるのではないかと…。

 

紬、は湊斗がいることで、

想という恋人を失ったことは埋められてきたけれど、

 

湊斗には、

大好きな友達の代わりは、

 

 

いない。

 

 

その事実が、あからさまになった瞬間。