40年以上の会社人生で、仕事抜きで飲みに行ける仲間は片手で足りるほど。一昨晩はそのうちの一人である4つ下の後輩と数年ぶりにすすきのでプライベートな飲み。
20年ほど前に東京の本社で初めて一緒になり、お互い北海道に戻った後に同じ職場になったこともあるが、15年ほど前に別々の職種となり同じ職場で働くことはなくなったが、機会があるごとに声をかけてもらい飲みに行く仲。口には出さないがタイミング的にきっと定年退職を前にした自分を労うつもりだったのだろう。
「●●さんからは絶対誘ってくれない」と会うたびごとに責められる自分。「まぁ、そういうタイプだと知ってのことだからいいだろう」と返すのも毎度のことで、一昨日も結局同じやりとり。こちらの誕生日もしっかり覚えていて、ましてや飲みに誘ってくれる後輩なんてこいつ一人なんだからもう少し大事にしてあげてもいいのだろうが、そうできないのだから仕方ない。こんなんだから仲間と呼べる人間が少ないのだろうが、無理して増やすものでもないし、今くらいが丁度いいってことで。というどうでもいい話は横に置いといて、今週もぼちぼち始めることにしましょうか。
今年に入ってからも相変わらずロックスターの訃報が続いてて、一昨日はダムドのギタリストブライアン・ジェームスが亡くなったことをフォロワーさんのインスタで知った。
一週間ほど前は長く闘病生活を送っていたデヴィッド・ヨハンセンも。つい先日、昨年11月に転倒して背中を骨折し寝たきりの状態になっているとのニュースを目にした矢先である。
デヴィッド・ヨハンセンといえば、世間的にはニューヨーク・ドールズのボーカリストというイメージが大きいのだろうが、実はそのニューヨーク・ドールズのアルバムを一枚も持っていない自分。あの、ジョニー・サンダースも在籍していたバンドというのにだ。このバンドの有名すぎるデビューアルバム。そのジャケットに映るグラム然?としたあのいでたちがどうにも苦手なタイプなもので・・・。
その昔、自分のマストバンドであるリザードの前身である紅蜥蜴も似たようなスタイルだったが、そっちの方は受け入れられるのだから自分の懐の浅さもたいがいなもんであろう。
そんなデヴィッド・ヨハンセンの名を初めて知ったのは、1979年にリリースされた彼のセカンドアルバム「イン・スタイル」のレビューをロッキンfで読んだ時だから、多分中3の頃だろう。
ちょっと見にはミック・ジャガーにも似たヨハンセンがカッコよく映る印象的なモノクロのジャケットは、当時、パルコやJUNのCFでも有名だったリチャード・アヴェドが撮影したものだという。
このジャケット、ほんとにカッコよくて、このアルバムを見つけたら買って聴いてみることにしようと考えていたことを覚えている。が、いつかいつかと思っているうちにすっかりそんなことも忘れ、ようやく手に入れたのは55歳も過ぎてからだから、発売から40年以上も過ぎていたことになる。いつかいつかで40年以上なんてかけてちゃ、今から同じようなことを考えることがあったら100歳を過ぎてしまうぞ、俺(笑)。
さて、肝心のアルバムだが、ニューヨーク・ドールズのジャケットから想像してしまうドロドロとした感じは全くなく、70年代後半から80年代初頭にかけて席捲したスタジアム・ロックバンドにも近しい、だけどそこまでスケール感は大きくなく、ちょっと洗練されたスタイリッシュなロックン・ロールといったところか。オープニング曲
の「メロディ」と3曲目の「ビック・シティ」(ビッグじゃなくビックってのがいかにも70年代?)辺りは、アルバム副題のニューヨーク・ストリートのとおり、いかにもニューヨークなサウンドが心地いい。当時、発売と同時に買っていたらかなりハマってただろうことは間違いない。
帯裏の「ニューヨーク おまえは狂っちまってる ニューヨーク おまえはホラばかり ニューヨーク おまえはいつもしかめ面 ニューヨーク おまえはダイナマイト だけど好きさ、おまえに夢中だよ」のコピーが秀逸。
レコード時代の帯に書かれたコピーって、結構グッとくるものがあって好きだったんだけど、CDになってからは、同じように帯に書かれているコピーがCDのサイズに合わせるようにスケールが小さくなったように感じるのは気のせいか?
ちなみにこのアルバム、ヨハンセンと元モット・ザ・フープルのミック・ロンソンが共同でプロデュースを行なっている。
このアルバムをえらく気に入ってちょくちょくレコードに針を落とす割に他の作品に手が伸びないのは、結局はこのアルバム以上に出来のいいジャケットの作品がないという、作品の内容とは別次元のところが理由ってのが相も変わらず何ともな自分・・・というところで。
先に記したように、デヴィッド・ヨハンセンはステージ4の癌と脳腫瘍を患い長年療養されていた後、残念ながら2月28日75歳という若さでこの世を去った。彼の作品はこのイン・スタイルしか聴いてはこなかったものの、自分のロック人生に少しだけ爪痕を残してくれたのは確かなことで、そのお礼の意味も込めて今度こそはニューヨーク・ドールズの作品を買って聴いてみようと思っているのだが、やはりあのおどろおどろしいジャケットのデビューアルバムの前に、ジャケットがちょっとカラフルでカッコいい再結成後の「ワン・デイ・イット・ウィル・プリーズ・アス・トゥ・リメンバー・イヴン・ディス」にしようと思っているところは、やはり本流を外しまくりの自分らしいところかなと思うのだ。
とりあえずは、イン・スタイルのアルバムを自室壁のロック・レジェンドコーナーに暫く飾っておくことにしよう。
今週も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。