今や日本を代表するロックバンドにまでになったTHE PILLOWS。KENZI & THE TRIPSが解散となった上田ケンジが同郷の山中さわおを呼び寄せて1989年に結成したバンドだ。
1993年にリーダーの上田ケンジが脱退した以降は、残された山中さわお、真鍋吉明(札幌出身)、佐藤シンイチロウ(上田ケンジとともにケントリ在籍)の3人でバンドを継続し、2009年には日本武道館公演も行っている。

ケントリ、札幌系譜のバンドとなれば気になって当然何枚かのアルバムを聴いてもみたし、武道館ライブのDVDも購入して観てみたが熱心に追い続けるようにはならず。


2016年のある日、地元のタワレコPIVO店に立ち寄った時に大きくポップ広告が出されていたのがCASABLANCAというバンド。
ウエスタンなジャケットに惹かれポップ広告の内容を目で追うと、山中さわおがヌードルズのYOKO、レディオキャロラインの楠部真也と結成したバンドだという。

しかもタワレコPIVO店限定販売(!!)。かなり気になったものの、各メンバーが在籍するバンドはほととんど聴いてないし、ベースレスだということもあり見送り。

しかし、翌年の2017年にはまたもタワレコPIVO店に2枚目のアルバムの大きなポップ。前作に続きウエスタンな雰囲気を醸し出したジャケットにタワレコPIVO店限定販売。今度はしっかり店頭の試聴コーナーで全曲少しずつ聴いてみるとなんかいい感じ。

で、1枚目のAnother Storyとともに新作のBREAK AN IMAGEを購入。

BREAK AN IMAGEはオープニングのインストナンバーNew worldからラストナンバーRespondまで、まるで上質な西部劇の映画を1本通して観ているような感覚を味わえる良盤。

特に4曲目の「幌馬車の上の三人」で歌われる世界は、どこまでも続く荒野でキャトルドライブを続けるカウボーイの日常そのもの。西部劇好きには堪らない1曲だ。

ベースレスのバンドだとは思わせないサウンドは、山中、YOKOのギターのアンサンブルによるものだと思うが、こんな形態の3ピースバンドも意外とありなんだなと、ベースレスという理由で避けていた自分の度量の狭さを改めて痛感。

5曲目の「闇に響く歌声」は、ジム・ジャームッシュの映画ミステリー・トレインに登場するジュン(永瀬正敏)とミツコ(工藤夕貴)のその後を思わせるところなんかは自分的なツボ。(これ、あくまでも自分が勝手に空想してるだけで、バンド側の意図するところは全く別のとこですよ)

1作目、2作目ともに見開きの紙ジャケというのもグッとくる。できれば帯も付いてると文句なしというところなのだが、あえて帯は外しているのだろう。

1作目は1曲毎にメンバーのポートレイトの裏が歌詞カードになっている凝りようで、こんなところを楽しめるのは昔レコードを買って歌詞カードを取り出す時のワクワクに近い感じ。


2020年には3作目も相変わらずのタワレコPIVO店限定(3作ともライブ会場販売と通販はしているようです)で販売されているみたいなのでこっちも買ってこなければ。

メンバーのファッションも含め、西部劇(マカロニじゃない方です)とロックの両方が好きな方はかなりお薦めなバンドです。

それにしても、せっかくそれぞれのメンバーは人気の高いバンドで活躍してるのに、そっちの紹介じゃなく、あえてアナザーサイドの方のバンドを紹介してしまう、と言うかアナザーサイドの方に惹かれてしまうというのが、もしかして自分の本質的な部分なのかもなと思えるような真夏の昼下がりでした。