金曜の晩、久しぶりにDOG FIGHT!のONE NIGHT LIVE STILL CRAZYⅡのDVDを観た。

DOG FIGHT!はラフィン・ノーズ~コブラ~SAと日本のメジャーなパンクバンドで活躍し続けているギタリストのNAOKIがCOBRA活動停止後に弟のTAISHOと結成したバンドだ。


自分にとってNAOKIといえば、ラフィン・ノーズでも、COBRAでも、SAでもなく、パンクの本流からちょっと外れたこのDOG FIGHT!でギターを弾く姿がまず一番に頭に浮かぶ。


少し話は脱線するが、自分と同年代でパンクロックに心を撃たれて…なんて方の多くは、リアルタイムで体験したピストルズに衝撃を受けて…とか、クラッシュの白い暴動やダムドのニュー・ローズにやられて・・・なんていうところがパンクの初期体験なのでは?と、勝手に想像するところであるが、パンクの嵐が吹き荒れた頃、ベイ・シティ・ローラーズにどっぷりはまっていた自分は全くもってそんな体験がない。
なんたってジョニー・ロットンの「ローラーズなんか糞くらえ」みたいな発言を当時愛読していたロック雑誌で目にしたのだから敬遠するのが当たり前だろう。

初めてリアルタイムで買ったパンク・ロックのレコードはトム・ロビンソン・バンドのパワー・イン・ザ・ダークネス。これもパンクのカテゴリーで語られていたバンドとは知らず、ラジオで聴いた2・4・6・8モーターウェイのメロディが頭から離れなかったからで、この後続けざまにパンク・ロックに傾倒していくこともなかったのだから。

フーもパンク好きの方が推すところのマイ・ジェネレーションなんかの初期よりフーズ・ネクスト、キンクスもユー・リアリー・ガット・ミーの初期よりスリープウォーカー辺りからの後期にかけて。


ストラングラーズを初めて知ったのも4枚目のレイヴンだし、クラッシュですら白い暴動や動乱なんかではなくロンドン・コーリングから聴き始めているのだから、こんなところでも本流?を外しまくりなのである。



さて、話をDOG FIGHT!に戻そう。

NAOKIといえばDOG FIGHT!が頭に浮かぶと言いつつ、自分がDOG FIGHT!の音に初めて触れたのは、もうバンドが解散しようかという1996年か1997年頃だった。いや、もしかしたらすでに解散していたのかも。


買い物に出かけたスーパーマーケットの片隅に置かれた中古CDの投げ売りワゴン。何の気なしに覗いたときに目に付いたNO SURRENDERのジャケットに惹かれて思わず買ったのがDOG FIGHT!の音に触れたきっかけだった。

このバンドがNAOKIが結成したバンドくらいの知識はあるにはあったが、どうせラフィンやCOBRA辺りの流れを汲んだパンク・ロックなんだろうという先入観があったのも事実。


家に帰りそのNO SURRENDERを早速聴いた。

パンクの持つ熱さがベースにありつつも所謂パンク・ロックといったゴリゴリのサウンドではなく意外にポップさも兼ね備えたロックサウンドと、少年・青年時代を過ぎてはいるが大人になり切れない中途半端な時期の切なさ、もどかしさを歌った歌詞が当時の自分にピタッとはまった。

これは最新作も!ということでCDショップに出かけ手に入れたのが6作目にして初めてバンド名をタイトルに冠したDOG FIGHT!

前作よりポップさを増したサウンドは事務所やレコード会社の意向が色濃く反映されたものなのかどうかは門外漢の自分の知るところではないが、見開きタイプの歌詞カード裏のポスターで見ることができるメンバーのもしかしてミスチル?と思えてしまう姿にそんなこともあり得るかと思えてしまったのは、この後間もなくバンドが解散したところを考えると、案外間違いではなかっのかも。



ギターよ何処へ行こうか 俺たちさびつく前に
ギターよ自由になるため 俺たちは出会ったはずさ

ラストアルバムの最後に収められた「ギターと愛する時」で聴くことができる歌詞とメロディーは、そんなバンドの結末を感じとっているメンバーの切なさが滲み出ていると思えて仕方ない名曲。


後追いで過去のアルバムもすべて揃えたものの、DOG FIGHT!といえばどうしてもこの後期の2作品を推してしまう自分は、ここでもDOG FIGHT!ファンの本流を外しているのかも。


ちなみにDOG FIGHT!時代のNAOKIはトレードマークのスパイキーヘアーを封印している。


DOG FIGHT!解散後、5年ほどの時を経てリリースされたTAISHOのソロアルバムTOUGHNESSはいかにも自主制作盤!的な手作り感で、決して満足できる音作りとはなっていないが、自分はやっぱりロックがやりたかったんだ、自分にはロックしかないんだという熱い思いが伝わる良盤。


そのTAISHOは現在、10万人に1、2人しか発症しないという難病の大脳基底核変性症の闘病中だという。


また、いつか兄のNAOKIと一緒にステージに立つ姿が届けられることを願わずにいられない。


今週も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。