映画を観るなら西部劇がいい。

クールなガンマンの生き方にはロックと同じ匂いを感じる。映画のタイトルに「荒野」なんてつくと、もう堪らなくなる性分だ。

ジョン・ウェイン、スティーブ・マックイーン、ユル・ブリンナー、リーヴァン・クリーフ、ランドルフ・スコット、ジェームズ・スチュアート、ヘンリー・フォンダ、カーク・ダグラス、アンソニー・クイン、グレコリー・ペック、バート・ランカスター、チャールス・ヘストンetc…憧れのウエスタン・ヒーローは挙げればきりがないが、なんといっても断トツはクリント・イーストウッドだろう。ただし、映画のストーリーとしてはマカロニ系よりも、ジョン・ウェインやランドルフ・スコット、ジェームズ・スチュアート辺りが主演のベタな、所謂正統派というやつに滅法弱い。

西部劇との最初の出会いはほとんど記憶がないが、Rollin’,Rollin’,Rollin’の歌やハイヨー!シルバー!の掛け声が記憶にあるのだから、きっと、ガキの頃にテレビで放映されていたローハイドやローン・レンジャーは観ていたのだろう。



それから10年以上の時を経て、THE MODSのアルバムHANDS UPでウエスタンというものを意識するようになる。


アルバムジャケットもそこに映るメンバーのスタイルもが西部劇の世界そのもの。

収録曲もサンダンス・キッドが登場するKID WAS・・・・・、BLACK DICE、無法者の詩等々ウエスタンの匂いを感じるものばかり。捉えようによっては名曲バラッドをお前にですら西部に生きる男の歌に聴こえてくる。

ただ、発売当時はこの世界観がそんなに好きにはなれなかった。シェリフそのものの苣木教授、黒眼帯にガンベルトのキーコなんかのウエスタン・ファッションがその頃の自分にはカッコよくは映らなかったのだろう。まだまだパンクなスタイルに憧れが大きかったYOUNG GUNだったのだ。


その後も西部の世界、西部劇がテーマになったナンバーがいくつも産み落とされてきたが、西部劇の世界に引き込まれることはなくいつしかモッズからも離れていくことになる。40を過ぎた頃にちょっとしたきっかけでメンバーチェンジ後のライブを収めたDVDのLIVE FREEDを手にしたことで、再びモッズの世界へ、そして西部劇の世界にも引き込まれていくことになるが、その辺の話は以前のブログに記している。

まぁ、モッズとの再会が西部劇にのめり込んでいくきっかけになったというわけだ。

ということで、当然ながらこの頃から西部劇ヒーローを素材にしたロックナンバーも素直に聴けるようになったのは自然の流れ。

お陰でモッズのPROUD ONESという曲と同名の「誇り高き男(PROUD ONES)」という西部劇にも出会えた。

クラッシュの3枚組サンディニスタのオープニング7人の偉人の原題はTHE MAGNIFICENT SEVENで荒野の七人の原題と同じ。





ストラマーズが2008年にリリースしたアルバムは西部劇の最高作とも言われる続・荒野の用心棒と同タイトルのDJANGO。

収録曲のCOOL RULEにはその主人公を演じたクリント・イーストウッドが登場する。


そのクリント・イーストウッド主演の西部劇で一番のお薦めは「荒野のストレンジャー」。

普通は続・夕陽のガンマン辺りがイチオシとなるのだろうが、そこはひねくれ者のPUNKS。


原題HIGH PLAINS DRIFTER(意訳すると高原の放浪者というところか)を荒野のストレンジャーとしたところがなんとも憎い。真昼の決闘、シェーン、ワーロックの名作群のさわりを取り込んだというこの映画はイーストウッド本人が初めて西部劇の監督を務めた作品。

クリントイーストウッドの西部劇はどれもバイオレンスな描写が多く、どちらかというと苦手。この映画もまぁまぁそんな描写が登場するが西部劇には珍しくミステリータッチで描かれているところが惹かれるところ。また、イーストウッドが演じる流れ者が実は亡霊だったのでは?と思わせるストーリーもなかなか。

ロックナンバーに登場する西部の男たちはクリント・イーストウッドのようなクールな男たちが多いのだが、冒頭書いた通り自分が好んで観るのはジョン・ウェインなどが主演する正統派西部劇。ただこの類の西部劇には先住民族との闘いが描かれているものも多く、その辺りは苦手な部類。

お薦めのジョン・ウェイン作品といえば2011年にリメイク版もヒットたトゥルー・グリット(勇気ある追跡)か。

黒眼帯の酔いどれ保安官ルースター・コグバーンが涙と笑いを誘う。このルースター・コグバーンは人気が高かったのか、その後には続編的なオレゴン魂も制作されており、こちらもお勧めである。


好きが高じて格安のDVD、Blu-rayを見つけると内容云々は抜きにして片っ端から手に入れてきた西部劇。
ここにきて10枚セットのパーフェクトコレクションなんかもいくつか溜まり、合わせて、相変わらずロック関連のCD、レコードDVDなんかも買い漁っていることから、手元にありながらまだ未見の西部劇がかなりの数になってきた。


まぁ、定年にでもなって時間が有り余るようになった時の愉しみのつもりでこれからもコレクションは増えていくのだろうが、ウエスタンヒーローのクールさとは真逆の三流喜劇のようでなんだか悲しい。

西部劇を見て男を学んだはずなのに…だ。

ボーナスが出たらターコイズのリングでも手に入れて、クールなガンマンな気分でも味わおうか。

って、やっぱり西部劇を見て男を学んでないじゃないか…。


では、また次回。