犬 | 音詩昔侍

音詩昔侍

音詩(おんし)
物語・詩を
音の流れで表そうとする音楽のこと

犬の名前を尋ねた。 番犬。 名は無い。

年に一度ほど連絡を取り合う伯母は、肉でもやろうとしたら、
飼い犬にかまれたと、いやな声で言った。

鎖のチェーンがピーンと張って、
のどに食い込むほど、それでも向かう。

牙を剥き出し吠える。
小振りな体からメラメラとした炎さえ見えるよう。
すごい迫力と威力。

絶対に近づいてはいけないと、若夫婦にも念を押されていた。
私は、正面にしゃがみ込んで見つめた。熱い砂ぼこりが立つ。

「すごいね」
つい、声に出して話しかけていた。
「いつも偉いね。番犬、ほんとお疲れさま」

メラメラが一瞬にして
「ん?」という。何かハッとしている。
可愛い。

こののち、テリトリーに入って代えた水で、
お座りもお手も、待ても良しも。
おしりが痒いとおしりを向ける。

「え?かくの?かけって?うんも~、ちょっとだけだよ~
あんまりかくと、もっとかゆくなっちゃうからね~」
すっかり二人は、ラブラブのデレデレ。

名が無い以外
実話です虹