チラシより
借金取りに追われ、二人の子供を抱えて東京へ逃げてきた夏希は、昼夜を問わず必死に働きながらも、明日食べるものにさえ困る生活を送っていた。ある日、夜の街で偶然ドラッグの密売現場に遭遇し、子供たちのために自らもドラッグの売人になることを決意する。そんな夏希の前に現れたのは、孤独を抱える格闘家・多摩恵。夜の街のルールを何も知らない夏希を見かね、「守ってやるよ」とボディーガード役を買って出る。タッグを組み、夜の街でドラッグを売り捌いていく二人。ところがある女子大生の死をきっかけに、二人の運命は思わぬ方向へ狂い出す---。
製作:「ナイトフラワー」製作委員会
配給:松竹
監督・脚本・原案:内田英治
撮影:山田弘樹
美術:佐々木理恵
音楽:小林洋平
出演:北川景子 森田望智 佐久間大介 渋谷龍太 渡瀬結美
加藤侑大 渋川清彦 池内博之 田中麗奈 光石研
2025年11月28日公開
※酷評と若干ネタバレをしていますのでご注意ください
生活苦に陥ったシングルマザーが女性格闘家と手を組み、犯罪に手を染めていく内容にも関わらず、各エピソードの掘り下げが浅いため不幸や不運の羅列にしか見えず、その結果、重苦しさが感じられずサスペンスの足りない犯罪映画になっていました。
夏希(北川景子)が気絶した売人からドラッグをくすねた末に売ろうとすること自体無謀であり、彼女のボディーガード役となる多摩恵(森田望智)もデリヘル嬢のバイト時にラブホテルで清掃をする夏希を見かけ、彼女が倒れているところを自宅まで送るだけでは相棒となる動機も些か弱いです。
また、クスリ漬けにされた挙句事故死した娘の母親の星崎みゆき(田中麗奈)のサイドストーリーもツッコミどころ満載。夏希や多摩恵を逆恨みするのは良しとして、元刑事の私立探偵・岩倉(渋川清彦)に拳銃を調達してもらうに到っては頭を抱えたくなります。しかも、岩倉はみゆきに「変なことを考えていないでしょうね?」と念を押すのですから失笑してしまいます。あんたはダチョウ倶楽部か。
また、ラスト近くに多摩恵や夏希の娘・小春(渡瀬結美)に起きる出来事も、如何にも悲劇と思わせて実は・・・という一夜限りの花・月下美人にひっかけた“奇跡”演出も、内田英治監督のドヤ顔が浮かんできて、逆にヒロインの願望に過ぎない夢オチと解釈したくなります。
小春のヴァイオリンの才能に纏わる話を極力抑え、息子の小太郎(加藤侑大)の保育園の傷害事件を削除して(結局賠償の件は放りっぱなしのまま終わります)、犯罪行為によるサスペンスに特化したほうが話として締まったように思います。エピソードを広げ過ぎた挙句、薄味になってしまったのが惜しまれます。











