チラシより
ある日、自らが営む家具屋の地下から異次元へと迷い込んでしまったクラークは、不条理な世界で怪異に直面する。セラピストのメアリーもまた、彼の行方を追ってバックルームズへと足を踏み入れる。この空間はなぜ存在するのか。ここで一体何が起きているのか。
製作:アメリカ
監督・原作:ケイン・パーソンズ
脚本:ウィル・スーディク
撮影:ジェレミー・コックス
美術:ダニー・ヴァーメット
音楽:エド・ヴァン・ブリーマン ケイン・パーソンズ
出演:キウェテル・イジョフォー レナーテ・レインスヴェ
マーク・デュプラス フィン・ベネット
2026年9月4日公開
家具店を営むクラークは仕事の忙しさにかまけて家庭を顧みなかったため女房には逃げられ、経営も巧く行かず精神が不安定になっています。そのため、彼はセラピストのメアリーから定期的に診察を受けています。現状維持に固執するクラークに対し、メアリーは変化を促しますが、彼女自身も過去に囚われている様子が窺えます。そんな折、クラークは家具店の中で異変が何度も起き、その原因を調べるうちに異次元の世界が存在していることに気づきます。
異常な電気の消費量、配電盤の不可解なスィッチ、閉店後に起きる不可解な現象と言った具合に、手順を踏みながら異次元に辿り着く過程を丁寧に描いています。また、異次元では日常で目にする物が置かれていながら、そこはかとない不気味さを漂わせていて、しかも絶妙なアートにも感じられます。そして、迷路のような異次元の構造は、不安定な精神状態のクラークの心象風景にも思えます。
クラークは自分が目にした光景をメアリーに話すものの、彼女が理解できないため苛立って席を立ちます。彼は従業員のボビーとキャットを巻き込んで、自分の身に起きたことを証明しようとします。ところが、三人は異次元で何者かに襲われ、メアリーの留守番電話にクラークの不穏な伝言が残されていたため、彼女は心配になって家具店に様子を見に行くという話の流れになっていきます。
本作は匿名掲示板4chanのフォーラムに1枚の写真が投稿され、監督のケイン・パーソンズがその写真に触発されて、You Tube上で短編を発表した末に、2億回が再生されたことがきっかけとなっています。この短編の世界観を、ジェームズ・ワンを始めとする製作陣のもとで映画化され、ケイン・パーソンズは若干20歳で長編デビューを果たしたばかりでなく世界各地で大ヒットさせました。
主人公が特殊な状況下に置かれる物語は、得てしてアイデア自体は面白い一方で、実際に観ると途中で興味が失われ、後は惰性で付き合うことが多いです。この映画はキワモノのように見せつつ、話の段取りが丁寧なため、得体の知れぬ恐怖が持続できていました。ただし、終盤に具体的な形で襲撃者を見せたことで、恐怖は薄まったような気もします。
本編が終了した後も、劇場限定の追加映像が流され、クラークが発見する以前に異変に気づいていた機関があることが示され、謎は謎のままとして終わります。因みに観終わった後は、同じジャンル映画でも志向の異なる「キャビン」を連想しました。異次元の空間は色々と想像が掻き立てられ、考察好きには格好の映画かもしれませんね。
