DVDあらすじより
昭和22年、瀬戸内海。復員兵・重佐(真田広之)は地獄のビルマ戦線から共に生還した鬼庄(佐藤浩市)と再会する。鬼庄は、小型漁船“梵天丸”を駆って瀬戸内一帯を荒らしまわる海賊になっていた。鬼庄とその仲間に加わった重佐は、ある夜、襲撃した船から大阪の嫁ぎ先へ向かう途中の娘・洋子(安田成美)を誘拐する。ところが嫁ぎ先が新興やくざ花万に洋子の捜索を依頼したことから、瀬戸内海を血で染める壮絶な戦いが繰り広げられることになる・・・。
製作:大映 ディレクターズ・カンパニー・インク
配給:松竹
監督:井筒和幸
脚本:西岡琢也 井筒和幸
原作:西村望
撮影:藤井秀男
美術:下石坂成典
音楽:武川雅寛
出演:真田広之 佐藤浩市 安田成美 平田満 堀弘一 今井美樹 蟹江敬三
1986年4月19日公開
井筒監督の作品は「ガキ帝国」「岸和田少年愚連隊」「パッチギ!」「ヒーローショー」といった代表作すら観ていなく、「のど自慢」「黄金を抱いて飛べ」しか観ていません。こちらが勝手に井筒監督とは相性が悪いと思って敬遠したせいもありますが、それでも「のど自慢」は結構お気に入りの映画でした。本作は果たして?
当時若手だった真田広之、佐藤浩市、安田成美が新鮮なのに加え、女優時代の今井美樹が垢抜けていなく(笑)、脇役陣も西村晃、吉行和子、蟹江敬三、平田満と粒が揃っていて、中村玉緒も真田広之の母親役として一瞬顔を見せるなど、役者に関しては期待通りでした。殊に敵役となる蟹江敬三の憎々しさは格別でした。
その反面、ストーリーや演出に関しては物申したくなる点が多々ありました。そもそも娯楽作にも関わらず、話が分かりにくいのが致命的。テンポ良く進むのは歓迎ですが、かなり端折っている部分が見られ、結果的に登場人物の行動が意味不明になっているのは困りもの。西村望の原作は未読なのですが、脚本に相当問題があると思われます。
おまけに人間関係が巧く整理できていないため、ストレスのかかる鑑賞を強いられました。観る側に人間関係が把握できていれば、猪狩(木之元亮)にレコードを投げつけて顔に傷を負わせた人物が何者なのか、顔を映さなくても別にいいのですが(おそらく花万が洋子を見つけられない部下に対しての怒りの表明)、火つけ柴の仕業かと誤解を招きかねません。
また、火つけ柴と女郎屋の女将のたえ(吉行和子)が血の繋がった関係にあることは、逆にそれとなく仄めかす演出のほうが効果的だったように思います。他にも船に火をつけられ這う這うの体で逃げ出す重佐や鬼庄に対し、火つけ柴がそこで見逃すか?と思うような場面や、最後にその人物を死なせる?と言った疑問符がつく結末など、井筒監督作を無意識に敬遠してきた理由が分かったような気がしました。
かなりがっかりさせられた作品ではあるものの、エンドロールに流れた歌が桑名晴子と加川良のデュエットだったことと、今井美樹の裸が見られたことが嬉しい誤算と言ったら、作り手に怒られるかな?
