チラシより
未知の原因によって太陽エネルギーが奪われ、数十年後に地球は氷河期に突入する。原因解明に向けて宇宙に送り込まれたグレースは、科学の知識だけを武器に80億人の命をかけた人類最後の賭けに挑むが、この危機を救おうとする小さな相棒と出会い、共に愛する故郷を救うため宇宙の難題に挑む。手探りの共同作業は、やがて孤独を癒す友情となり、何よりも守りたい〈存在〉に変わる。そして2人が辿り着いた、1つの答えとは---。
製作:アメリカ
監督:フィル・ロード クリストファー・ミラー
脚本:ドリュー・ゴダード
原作:アンディ・ウィアー
撮影:グレイグ・フレイザー
音楽:ダニエル・ベンバートン
出演:ライアン・ゴズリング ザンドラ・ヒュラー ライオネル・ボイス ケン・レオン
2026年3月20日公開
さすがに宇宙飛行士としてズブの素人の中学教師が、訓練を受けないまま、いきなり宇宙に旅立つ設定は如何なものかと思います。それでも、その点に目を瞑れば、宇宙空間の描写や宇宙船内のデザインには目を瞠るものが多く、いくつかツッコミどころがあるにせよ、異星人との交流物語として面白く観られました。
※若干ネタバレに触れていますのでご注意ください
グレースは衰弱を免れた恒星タウ・セチから、太陽エネルギーを吸収している「アストロファージ」のサンプルを採取して地球にデータを送る任務が与えられます。ただし、データを送れても、宇宙船は地球に帰還する方法がないため、片道切符を渡されて死を待つことを意味しています。
映画はタウ・セチまでの道程と並行して、グレースが宇宙船に乗りこむまでの過程が描かれます。彼がコールドスリープから目覚めた時は、記憶の一部が欠けた状態になっており、観客もグレースの視点から徐々に恒星に向かうまでの経緯が分かる作りになっています。
グレースはタウ・セチが間近に見える地点まで到達した際に、地球外生命体と遭遇します。彼は異星人をロッキーと名づけ、あらゆる手段でコミュニケーションを図り、徐々に親近感を抱いて行きます。このグレースとロッキーの相棒感が実にいいのですよ。
ロッキーもグレース同様、ひとりぼっちでタウ・セチだけが衰弱を免れた原因の探索を続けています。特にロッキーの場合は、睡眠中に仲間たちが死んだことから罪悪感を抱いていて、グレースに仲間意識を抱いた事によって、彼を死なせないよう手を尽くすことに説得力を持たせていました。
グレースとロッキーは何度も危機を乗り越えながら、サンプルを入手することに成功します。また、地球に帰還する難題も、ロッキーの提案によってほぼ解決されます。ところが、思わぬ事態が発生し、グレースは究極の選択を迫られることになります。
私がこの映画でグッとくるのは、ロッキーの提案も然ることながら、グレースが下した判断にあります。彼は科学教師としては優秀でも、元々小心な性格であり、実は使命感があって危険な任務に志願した訳ではありません。そんな凡人の部類に入る人物が、精一杯の勇気を振り絞って、自らが犠牲になってでも、相手を救おうとする姿が尊く美しいからこそ観客も胸を打たれます。
尤も、その後の展開によって、やけに後味の良い終わり方をするので、その時の感動も半減されてしまいましたが(笑)。ただし、ロッキーが人類より遥かに高い文明を持つ生命体であることと、グレースが地球に帰還することにあまり未練がないことを鑑みると、寧ろこの結末に納得してしまうでしょうね。
