復活した恐竜たちが暴走した末に大惨事を引き起こす「ジュラシック・パーク」を観て | パンクフロイドのブログ

パンクフロイドのブログ

私たちは何度でも立ち上がってきた。
ともに苦難を乗り越えよう!

こうのすシネマ

午前十時の映画祭 より

 

製作:アメリカ

監督:スティーヴン・スピルバーグ

脚本:マイケル・クライトン スティーヴン・スピルバーグ

原作:マイケル・クライトン

撮影:ディーン・カンディ

美術:リック・カーター

音楽:ジョン・ウィリアムス

出演:サム・ニール ローラ・ダーン ジェフ・ゴールドブラム

         リチャード・アッテンボロー サミュエル・L・ジャクソン

1993年7月17日公開

 

生物学者のアラン・グラント(サム・ニール)と古代植物学者のエリー・サトラー(ローラ・ダーン)は、アリゾナの砂漠地帯で恐竜の化石の発掘調査を続けていました。そこに彼らのスポンサーであるジョン・ハモンド(リチャード・アッテンボロー)が突然現れます。ハモンドは3年間資金を援助する代わりに、コスタリカ沖の孤島へ視察に来るよう二人に要請します。その視察には、数学者のイアン・マルカム(ジェフ・ゴールドブラム)、ハモンドの顧問弁護士ドナルド・ジェナーロが同行し、ハモンドの2人の孫、レックス(アリアナ・リチャーズ)とティム(ジョセフ・マゼロ)も招かれていました。

 

島に到着した彼らの目の前に現れたのは群れをなす本物の恐竜たちでした。ハモンドはこの島を恐竜のテーマパークにしようと目論んでいました。彼はそのために巨費を投じて研究者を集め、化石化した琥珀に入っていた古代の蚊から恐竜の血液を取り出し、そのDNAを使いクローン恐竜を創り出したのでした。アランを始めとする研究者たちは、このプロジェクトに危惧を抱きますが、2人の子供たちと共に2台の車に分乗して園内を見学に出かけます。一行は、倒れているトリケラトプスを目にして、エリーが恐竜の様子を見るために残ります。

 

その頃、パークの安全制御を担当するコンピューター・プログラマーのネドリーは、恐竜の胚の入ったカプセルを盗み出そうとしていました。ネドリーは隙を見て、ロックを解除してカプセルを手に入れると、車を走らせ船の出る東桟橋へと急ぎます。一方、ネドリーが電源を落としたために、アランたちの乗った車も停車し、更に恐竜を閉じ込めておいた防護フェンスの高圧電流も止まってしまいます。その事によって、巨大なティラノサウルスが彼らの前に現れ襲いかかってきます。

 

警護役のジェナーロは食われてしまい、子供たちを助けようとしたマルカムも重傷を負います。アランと子供たちは恐竜の目を掻い潜りながらヴィジター・センターへ逃れようとする一方、ネドリーは車が立ち往生してティロフォサウルスに襲われてしまいます。アランたちを捜しに出たエリーはマルカムを助け、ティラノサウルスに追われながらもセンターへ帰還します。そして、彼女はシステムを元に戻すため、一度コンピューターの電源を切り、落ちたブレーカーを戻しにエリーは電気室へと向かいます。ところが、そこには凶暴で知能の高い小型恐竜ヴェロキラプトルが潜んでいました・・・。

 

公開からもう30年も経つのかぁ・・・。公開した年の夏にロゴマークの入ったTシャツを着ていたっけなどと余計なことも思い出されます。それはともかく、スピルバーグのサスペンス演出は巧いなぁと改めて思わされました。凶暴な恐竜の全貌をなかなか見せない点は、「ジョーズ」の演出を踏襲しています。凶暴な恐竜が姿を現す際にも、その直前にコップの中の水やゼリー等の小道具を使って揺れる描写を繰り返すことによって、観客にも条件反射のように恐怖が近づいていることを体感させます。

 

また、恐竜の直接攻撃のみならず、攻撃に付随する二次災害でもハラハラドキドキさせてくれるので、終始緊張した時間が続きます。特にアランと子供たちが電流の通っていない防護フェンスをよじ登っている描写と並行して、エリーがシステムを再起動させるため、電源を入れようとするところは、皮肉を利かせたサスペンスになっています。

 

その一方で、恐竜の遺伝子を盗もうとしたコンピュター・プログラマーがチンケな恐竜で仕留められるなど、小物の悪党に相応しい最期で、他の犠牲になる人物たちとの差別化が図られています。他にも、子供嫌いのアランが二人の子供と危機を乗り越えることによって心境の変化が表れる辺りも、定石とは言え悪くない話の持って行き方と言えます。人類の驕りが惨劇を招く構図はありきたりながらも、余計な御託を並べずにアクションの連続で観客に伝えようとするのがスピルバーグらしかったです。