価値観を共有しないと悲惨なことに・・・「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」を観て | パンクフロイドのブログ

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こうのすシネマ

午前十時の映画祭 より

 

この作品は1年前に『午前十時の映画祭』で観ました。ただ、クリスマスを過ぎて鑑賞したため、記事にする時期を逸してしまい、1年後にUPした次第です。

 

製作:アメリカ

監督:ヘンリー・セリック

脚本:キャロライン・トンプソン

脚色:マイケル・マクドウェル

原案:ティム・バートン

撮影:ピート・コザチック

美術:ディーン・テイラー

音楽:ダニー・エルフマン

出演:(声)クリス・サランドン ダニー・エルフマン

         キャサリン・オハラ ウィリアム・ヒッキー

1994年10月22日公開

 

カボチャ大王ジャック・スケリントン(クリス・サランドン)は、ハロウィン・タウンで最高のハロウィン演出家として市長や市民たちに絶賛されていました。しかし、彼は毎年ハロウィンの準備に明け暮れることに嫌気がさしていました。

 

そんなある日、ジャックは親友の幽霊犬ゼロとともに、森の中で奇妙な形の扉がついた木を見つけます。その1つ、クリスマスツリーの形をしたドアに吸い込まれ、ジャックは真っ白な雪と明るいデコレーションに包まれた街、クリスマス・タウンに送り届けられます。

 

ジャックは初めて見るクリスマスの光景に魅せられ、ハロウィン・タウンに戻ると、早速クリスマスの研究に没頭。ジャックを愛するつぎはぎ人形のサリー(キャサリン・オハラ)は心配しますが、彼はサンタの代わりにクリスマスを行うことを決意します。

 

ジャックはサンタに休暇を取ってもらおうと、ロック(ポール・ルーベンス)、ショック(キャサリン・オハラ)、バレル(ダニー・エルフマン)の悪戯っ子3人組を派遣しますが、3人はボスのウーギー・ブーギー(ケン・ペイジ)にサンタを引き渡してしまいます。

 

やがてクリスマス・イヴを迎え、ジャックは棺桶型のソリに乗って人間界を訪れてプレゼントを配りますが、ハロウィン・タウンの住人たちが作った不気味なプレゼントに被害が続出します。その挙句、ジャックはにせサンタとして軍隊に砲撃される始末。ようやく自分の愚かさに気づいた彼は、捕らわれのサンタを救うべく、ウーギー・ブーギーの屋敷を訪れるのですが・・・。

 

私の好きなコマ撮りアニメーションです。ハロウィンとクリスマスを結び付けた着想が面白い上に、ハロウィン・タウンの住人たちの妖怪のようなデザインも秀逸。彼らが奇抜且つユーモラスなキャラクターで楽しめますし、物語もミュージカルスタイルでテンポよく展開されます。

 

ジャックはハロウィン・タウンにおいてカリスマ的存在で、彼がいないと恒例の行事も行えないほど欠かせない人物となっています。その一方で、彼は自分の企画力にマンネリを感じ始め、ハロウィン・タウンの住人達が熱狂するのとは裏腹に冷めた気持ちでいます。

 

そんなジャックがクリスマス・タウンに迷い込み、クリスマスの楽しみに接したことで、自分もこの概念をハロウィン・タウンに持ち込もうとしたことが、“悪夢”の始まりとなっていきます。

 

そもそも、ハロウィン・タウンでは相手を怖がらせてナンボの価値観があり、クリスマスとは相容れません。自分たちの地域でクリスマスの形式を取り入れた行事を行うならばまだしも、ハロウィン・タウンの価値観で、クリスマス・タウンの子供たちが贈り物をされたら堪ったものではありません。

 

本質を理解しないまま、上っ面だけなぞっても、碌な結果にならないことは目に見えています。そう言えば、価値観を共有せずに資本主義の美味しいところだけ掬って、蓄えた資金を盾に世界の覇権を握ろうとしている国が近くにもありますなぁ。

 

ジャックの行為は無自覚であり、後に反省もしていますが、彼の国は戦略的であり確信犯。もちろん自ら非を認めることは一切ないでしょう。ハロウィン・タウンはジャックが正気に戻ったことで平静を取り戻しますが、現実世界では世界最大の反社であるあの国の党がなくならない限り、“悪夢”は続きそうです。