シネマヴェーラ渋谷
Age Of Go！Eiji!! 郷鍈治の祭り より
製作：日活
配給：ダイニチ映配
監督：武田一成
脚本：大和屋竺 曽根義忠
撮影：高村倉太郎
美術：深民浩
音楽：鏑木創
出演：小林旭 夏純子 郷鍈治 青木義朗 安岡力也 深江章喜 草薙幸二郎 真理アンヌ
１９７０年１０月１４日公開
上岡組と十和田組の二つの暴力団が縄張りを巡って抗争していました。上岡組の組長（草薙幸二郎）は、不動産屋を経営する顔役の野田（青木義朗）と結託して、十和田組のシマを潰し勢力を拡げようとします。十和田組は上岡組の仕掛けてきた罠にかかり、その落し前として3000万円を支払わなければならなくなります。
その頃、 “ジャックの刺青”こと花村勇治（小林旭）は、相棒の倉原俊太郎（郷鍈治）と共に二つの組が抗争する町にやって来ます。花村は縄張り争いに関わって、勝目のない組を盛り返し、多額の報酬を得るプロとして名を馳せていました。倉原は上岡組に用心棒として潜り込み、花村は十和田組の代貸の多羅尾（深江章喜）から十和田組に力を貸して欲しいと乞われます。
ところが、十和田組の組長から手助けは無用と断られてしまいます。それから間もなく、組長と多羅尾は野田の片腕となる殺し屋の白石（安岡力也）に斬殺されます。花村は残された十和田組の組員に懇願され、彼の仕切りで十和田組を再建しようとします。3000万円の支払い期限まで一週間と迫った際、花村は一発逆転を賭けて野田とポーカー勝負を挑みます。
しかし、倉原との関係を怪しまれた末、花村は勝負に敗れ、十和田組から手を引かなければなくなります。そんな折、上岡組に潜入していた倉原が、野田と関西暴力団の大御所との密会現場を盗聴します。それは、十和田組の次に上岡組を潰すという内容でした。花村は盗聴を録音したテープを持って、野田や上岡組長の出席する幹部会に乗り込むのですが・・・。
小林旭演じる花村は、縄張り争いをしている二つの組を両天秤にかけ、敢えて分の悪い組に肩入れして、盛り返した暁にはそれ相応の謝礼を頂くプロです。彼は相棒の倉原を敵対している組織に潜入させ、彼を通じて情報を仕入れ、抗争を有利にしようと企みます。
ただし、その道のプロと言う割には、出たとこ勝負が多く、必ずしも巧く行っているとは言えません。3000万円を賭けた野田との一発勝負のポーカー対決でも、せっかく倉原がカードを配るディーラーなのに、野田にグルではないかと疑われます。その結果、倉原の機転によって命は助かったものの、肝心の勝負には敗れています。
また、野田の情婦である麗子（夏純子）は花村と一緒にいるところを殺し屋の白石に攫われ、野田の悪事を系列の組の幹部の前で暴こうとした際も、盗聴したテープをすり替えられて大いに恥をかくなど、些か用意周到さに欠けています。主人公自体に間の抜けた部分があるため、小林自身も心なしか気の抜けた芝居をしているように見えます。
小林が精彩を欠く分、青木義朗演じる野田の腹黒さが際立ちます。上岡組と組んで十和田組を潰すばかりか、協力した上岡組すらも、関西の暴力団と手を握り支配下に置こうとします。そして、関西暴力団との会談を盗聴したテープの件を密告したトルコ嬢（真理アンヌ）も容赦なく殺してしまう非情さも堪りません。その一方で、花村に惚れている麗子には「惚れるのはいいが燃えるな」と釘を刺す冷静さがあり、裏社会の大物の風格があります。
お色気も満載で、夏純子と真理アンヌは裸を晒す濡れ場があり、彼女たち以外にも不必要と思えるほど女優陣の裸が見られます。この点は日活ロマンポルノ前夜の趣きがあり、日活アクションの全盛期を知る小林旭は、どのような心境で出演したのか気になりました。