遊び心と洒落っ気に溢れた「100発100中」を観て | パンクフロイドのブログ

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ラピュタ阿佐ヶ谷

昭和の銀幕に輝くヒロイン 第98弾 浜美枝 より

 

製作:東宝

監督:福田純

脚本:都筑道夫 岡本喜八

撮影:宇野晋作

美術:小川一男

音楽:佐藤勝

出演:宝田明 浜美枝 有島一郎 平田昭彦 多々良純 堺左千夫

1965年12月5日公開

 

この映画の主題歌です

 

パリの空港を発ったジェット機に二人の日本人がいました。二人はバンコク、香港と旅を共にしますが、一人は香港で殺し屋に殺害されてしまいます。生き残った一人は、インターポールのアンドリュー・星野と記載されたパスポートを使い羽田に降り立ちます。星野(宝田明)が日本に到着した早々、税関でストリッパーの化粧カバンが爆発する事件が起きます。そのどさくさに紛れ、一人の中国人が税関を通過し、用意された車で空港を離れます。

 

星野は美しい女ユミ(浜美枝)の車に乗せてもらい、車を追跡したものの、眠らされた上に拉致されてしまいます。ユミは東南アジアを舞台にプラスチック爆弾を売り歩く女で、“赤月組”と取引しようとしていました。その場には、星野が追っていた中国人黄昌齢(多々良純)もいて、彼も拳銃を赤月組に売り込もうとします。

 

やがて、インターポールから連絡を受けた警視庁の刑事手塚(有島一郎)が赤月組に単身乗り込んできますが、逆に捕らえられてしまいます。赤月(堺左千夫)は星野と手塚を始末するため、冷凍トラックに二人を移し、ユミを見張りにつけ東海地方へと向かいます。一方腹黒い黄は、赤月組に100挺の拳銃を売りつけると、敵対関係にある“青沼興業”にも200挺の拳銃を売ります。

 

更に、黄は青沼(草川直也)に星野がスイスの密売王から派遣された殺し屋で、密売王から独立したフランス人ルボワ(マイク・ダニーン)を狙って日本にやって来ているという情報を流すのです。その上、黄は赤月組が100挺のガンを荷揚げする時間と場所を青沼に知らせます。

 

その頃、星野と手塚は冷凍トラックから脱出し、星野は青沼興業の一員に成り済まし、青沼興業が赤月組から押収した拳銃を運びます。その様子を見ていたユミは星野に協力し、青沼興業に一泡吹かせます。こうして、手塚、星野、ユミの三人は協力体制を築き、イタリアで整形手術をしたというルボワを捜し始めます。

 

一向に手掛かりが掴めなかったところ、ふとしたことから星野はストリッパーがマネジャーに置き去りにされた現場に立ち会い、ルボワとマネジャーが同一人物であることを感知します。CRS特捜本部に渡りをつけた手塚らは、マニラに飛びマニラ市警の協力を得て捜査を開始します。

 

ところが、ルボワの配下にいる小森(平田昭彦)の指図により星野が捕われてしまいます。星野は黄昌齢の操縦するセスナ機に乗せられ、手塚とユミはセスナ機で直ちに追いかけます。黄は追跡者がいることを知ると、一人パラシュートで降下します。身動きの取れない星野は万事休すかと思われましたが、手塚が縄梯子を伝ってセスナ機からセスナ機に飛び移り、難を免れます。しかし、星野と手塚はルボワ配下の白人やフィリッピン人に捕まり、閉じ込められてしまいます・・・。

 

インターポールの刑事と大泥棒という違いはあれど、アンドリュー星野はルパンⅢ世を彷彿とさせる軽さがあります。また、6 0年代にジャン・ポール=ベルモンドが演じて来たアクション映画のヒーローや007シリーズのジェームズ・ボンドとも一脈通じるものがあります。日本人離れした宝田明が演じれば、マザコン気味のフランス生まれの日系三世と言う設定もそれらしく思え、気障な振る舞いがスマートに決まります。一応インターポールの刑事という肩書はあるものの、その一方で拳銃密売組織の黒幕を捜し出して暗殺する殺し屋かもしれない可能性を匂わせ、アンドリュー星野の正体はラスト近くで漸く判明します。

 

一方、相手役の浜美枝もボンドガールに選ばれたほどのプロポーションを持ち、コメディがかったアクション映画には一段と容姿が映えます。その点でも宝田明とも釣り合いが取れていますね。加えて、前半のうちは敵か味方か分からないいかがわしさも醸し出していて、峰不二子のような妖しい女になっています。

 

映画自体は全体的にマンガチックであり、随所に遊び心と洒落っ気に溢れています。この点は脚本を担当した都筑道夫と岡本喜八によるところが大きいでしょう。とにかくテンポが良く、話の展開が早いため、あっという間にエンディングを迎えます。話自体は3日も経てば全て忘れそうですが、面白かった感覚だけは残ります。ある意味、娯楽作としては理想的かもしれませんね。