チラシより
48分に1回、銀行強盗が発生する街=世界屈指の犯罪都市・ロサンゼルス。LAのアウトロー達【The Regulators】を率いるニック。彼は、多発する銀行強盗に立ち向かっていた。ある日、<伝説の強盗>メリーメン一味が企てる3000万ドルの巨大銀行強盗計画の情報を知る。綿密な計画を練り込むメリーメン一味、その動向を次第に追い詰めていくニック達。緊張が高まる中、対決の日は刻一刻と近づいていた――。
製作:アメリカ
監督・脚本:クリスチャン・グーデガスト
原案:ポール・シェアリング クリスチャン・グーデガスト
撮影:テリー・ステイシー
美術:カーラ・リンドストロム
音楽:クリフ・マルティネス
出演:ジェラルド・バトラー パブロ・シュレイバー
オシェア・ジャクソン・Jr カーティス“50セント”ジャクソン
2018年10月20日公開
初っ端から派手な銃撃戦。いきなりカマしてくるので、観ているこちらもノリノリになります。襲撃後、現金輸送車に金が積まれていなかったことが分かり、強盗側の手違いかと思いきや、輸送ルートが連邦準備銀行の関係者にしか把握できなかったこともあり、何故空の輸送車が狙われたのか謎が残ります。こうして、冒頭のアクションと奇妙な謎の2点で、一気に物語に引き込まれていきます。
やがて、メリーメン(パブロ・シュレイバー)一味の死亡した人物の面が割れ、特殊部隊に従軍したことのある面々が浮かび上がります。ロサンゼルス郡保安局の重犯罪特捜班を指揮するニック(ジェラルド・バトラー)は、一味と繋がりのありそうなバーテンダーのドニー(オシェア・ジャクソン・Jr)に目をつけ、彼を脅して警察側に引き入れます。メリーメン一味と保安局との駆け引きとは別に、裏切りを悟られぬように怯えるドニーの視点を取り入れることによって、より緊張感も高まってきます。
メリーメンは悪党である一方、かつて軍人だった名残のせいか、規律と倫理を守ってもいて、関係ない人々を殺さないような配慮をしています。冒頭の襲撃にしても、警察官や輸送車の警備員には銃を向けても、コンビニにいたお客や店員を巻き込んではいません。また、仲間の一人である家族持ちのルヴォー(カーティス“50セント”ジャクソン)が、自宅に来た娘の恋人に対して、娘に変なことをしないよう釘を刺した際に、仲間たちが一芝居打って協力するお茶目な面もあり、憎めないところがあります。
一方、ニックは道徳を無視したような行為が目立ち、FBI捜査官にもおちょくった態度を示します。女にもだらしがなく、とうとう女房から三行半を突きつけられます(ただし二人の娘に対しては子煩悩なところを見せます)。当初、ニックの私生活を見せる必要があるのか疑問に思いましたが、クライマックスのメリーメンとの死闘を見せられると、今まで二人の血の通った人間性を見せられた分、対決が避けられない運命に切なさが加わり、やはり必要な描写だったと思い直しました。
渋滞の中での警察と犯人一味の銃撃戦では、ニックがメリーメンを逮捕したい思いが強いあまり、(一応批難させる処置は取っていますが)結果的に一般市民を巻き込んでしまっています。この行動は、日本ならば警視総監のクビが吹っ飛びかねないないほどの問題レベル。でも、アメリカはドゥニ・ビルヌーヴ監督の「ボーダーライン」を観ても分かるように、犯罪を取り締まる側は、周りに一般市民が居ても結構無茶なことをします。お国柄の違いでしょうか?
本作は、チーム強奪ものとして、計画から実行まで様々な見せ場があります。犯人一味が連邦準備銀行の内部事情にやけに詳しく、内部に情報提供者でもいるのかと思いきや、別方面から情報収集していたことが、ラスト近くになって明かされます。しかも、あらかじめ観客にも伏線として提示されているので、そう来たか!と感心してしまいます。ただし、その手段でそこまで詳しい情報が得られるだろうか?と疑問には思いますけど・・・。
本来悪事を働いているのに、強奪計画を実行している間は、捕まるのではないかとドキドキしてしまうんですよね。犯罪者側が成功して欲しいと観客に思わせたら、もうその時点で勝負あった感じです。犯人と保安局との攻防だけでも十分満足できる映画ですが、事が一段落した後に、もうひとひねり加えられています。この部分は意外性があり、鮮やかな手法で示されるため、より印象が良くなっています。
もちろん、実行段階において細かい点を見ていけば、アラも指摘できるでしょうが、欠点をあげつらうよりは、やればできる子と長所を伸ばしてあげたくなる気持ちにさせる映画でもあります。このレベルのクライムアクションを地元のシネコンで頻繁に公開してもらえれば、劇場に足を運ぶことはやぶさかではないものの、1週目の日曜日の昼間にも関わらず、観客は私を含めて5人という現状を考えると、ちょっと暗い気持ちにさせられましたね。
