シネマヴェーラ渋谷
名脇役列伝Ⅲ ピラニア軍団・役者稼業 より
チラシより
ピラニア軍団
1960年代後半、東映京都撮影所の大部屋俳優だった
岩尾正隆・川谷拓三・志賀勝らの集まりを
「ピラニア軍団」と名付けたのが始まり。
そこに室田日出男・小林稔侍・片桐竜次・成瀬正孝らが参加。
渡瀬恒彦が全員を束ねて「東映ピラニア軍団」を結成した。
その後、深作欣二・中島貞夫、倉本聰らのスタッフ陣が「村民」として参加、
彼らの作品で主役を喰う活躍をみせたピラニア軍団は一躍注目を集め、
1975年大阪市の御堂会館で結成式が開かれた。
立会人は千葉真一・渡瀬恒彦・深作欣二。
1977年、LP『ピラニア軍団』がリリースされ、
『ピラニア軍団 ダボシャツの天』が公開されるなど、
ピラニア軍団ブームが最高潮に。
その後、映画の凋落とともにテレビに活躍の舞台を移すなど、
80年代に入り映画俳優集団としてのピラニア軍団は自然消滅した。
製作:東映
監督:皆川隆之
脚本:松本功 志村正浩
撮影:塚越堅二
美術:園田一佳
音楽:津島利章
出演:橘麻紀 堀めぐみ 衣笠恵子 カルーセル麻紀 岡崎二朗
名和宏 汐路章 福本清三 岩尾正隆 北川俊夫 成瀬正
1976年2月14日公開
信州上田真田藩の一行が鍬形一獄(汐路章)を始めとする鍬形衆に襲われ、御用金3万両が奪われました。伊賀組々頭の服部半蔵(名和宏)はこの事態を受け、3人のくの一・お妖(衣笠恵子)、お炎(堀めぐみ)、お乱(橘麻紀)に、三万両の探索を命じます。上州・白髭神社に向った3人は、鍬形一族に襲われるものの撃退します。3人は尼寺の愁月庵を拠点にして、3万両の探索を始めます。
すると、真田藩の忍者・風響之介(岡崎二朗)が現われ、3人に御用金の一件から手を引くようにと警告しその場を立ち去ります。やがて、高崎城下の廓で女郎に変装していたお乱のところに、鍬形衆の一人狂七(岩尾正隆)が現われます。お乱は秘技「忍法かまきり観音」で狂七の一物を締めつけて、御用金の隠し場所を白状させようとしましたが、狂七は自ら一物を斬り取ってしまいます。
その後、お乱は愁月庵に戻ると、行倒れの女が寝かされていました。実は、この女は鍬形衆の女忍者・葉月(カルーセル麻紀)で、自分の太股のバラの刺青からトゲの茎と緑の葉を伸ばし標的の喉元に巻きつける「鍬形忍法バラの褥」で、お乱を暗殺しようとします。しかし、お炎が気付き忍法を破るとともに、秘技「忍法うつし絵観音」によって葉月に成りすまします。
葉月に化けたお炎は、鍬形一族の隠れ場所に潜入したものの、正体を見破られ捕われの身となります。一方、お妖、お乱はお炎の安否が心配になり、鍬形衆のアジトに向かい、響之介の助け太刀でお炎を救出します。しかし、お妖は深手を負い、響之介に抱えられながら雪の中を彷徨います・・・。
女忍者が活躍する時代劇に求めるものと言ったら、ズバリ、エロと奇想天外な忍術でしょ!志穂美悦子ほどの身体能力がないと、殺陣の場面で女優の動きが緩慢に見えるのは否めず、だからこそくの一ものでは、この2点が重要な要素となります。その意味においては、この2点に関してはある程度の満足感が得られます。
ポルノ面においては主要な3人がいずれも脱いでいますし、おまけにカルーセルの姐御まで参戦して妖艶なカラミを見せます。忍術に関してもエロを巧みに取り入れた描写に見るべきものがあります。中でも一番のお気に入りは、「忍法うつし絵観音」。お炎が葉月に化けて敵陣に潜入し、一獄と床の中で一戦交える場面で、汐路章の愛撫にカルーセル麻紀が悶え、別の場所では衣笠恵子と橘麻紀が見ている前で、カルーセル姐御が一人エッチしているかのように快感に浸るという、一粒で二度おいしい秀逸な描写。尤も、この場面の印象が強すぎたため、肝心のクライマックスでの忍術がしょぼく思えてしまのは残念でした。
また、当世の流行りものに便乗して、笑いをとるのも東映のお家芸。今回は間寛平の「開けチューリップ」をネタにして、御本人にエロギャクをやらせています。個人的にくの一ものに「ロミオとジュリエット」的な純愛要素を持ち込むのはあまり好かないのですが、この作品ではお妖と響之介の敵同士でありながら愛し合う展開に、結構時間を割いています。名和宏は序盤だけの出演だけかと思っていたら、終盤にも登場して、名和先生ならではの見せ場を作ります。クライマックスの忍術はしょぼかったですが、名和宏の芝居で何とか体裁を整えた感があります。若干不満点はあるものの、ボンクラ野郎向きの時代劇に仕上げられていた点は満足です。
ちなみに休憩時間の場内では、こんな曲が流れていました。
役者稼業 志賀勝 バックの音がカッチョイイ!