おみそれしました 「007 スカイフォール」を観て | パンクフロイドのブログ

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世界各地に潜伏するエージェントのファイルリストが何者かによって盗まれた。ファイル奪還のため敵と格闘中、M(ジュディ・デンチ)の指令で発砲した味方の誤射により、ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は列車の上から90m下の川に転落。誰もがその死を疑わなかったが、ボンドはMI6がサイバー攻撃を受けていることを知り復帰する。だが、スパイの世界でもコンピューターがもたらす世代交代の波は避けられない。ボンドは若き武器開発担当Q(ベン・ウィショー)に時代遅れと揶揄され、Mもまた巧妙にセキュリティを潜り抜けた脅迫メールに脅かされ、組織から引退勧告される。首相官邸からは、ITが主流の時代にMI6エージェントの存在意義を疑う声まで上がっている。“伝統”と“革新”が対立する中、ボンドは幾多のエージェントの威信をかけて、姿の見えない敵を追う。


007 スカイフォール 公式サイト



パンクフロイドのブログ-007 スカイフォール1


監督:サム・メンデス

脚本:ニール・パーヴィス ロバート・ウェイド ジョン・ローガン

撮影:ロジャー・ディーキンス

出演:ダニエル・クレイグ ハビエル・バルデム ジュディ・デンチ

    レイフ・ファインズ ベレニス・マーロウ ナオミ・ハリス

2012121日公開


ここのところ007シリーズはご無沙汰で、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じるようになってからは、初めて観る映画です。しかも「アメリカンビューティ」のサム・メンデスが監督しており、畑違いのアクション映画は大丈夫かと、正直不安を抱きました。しかし、その杞憂は冒頭の13分で、ものの見事に払拭されました。やるじゃないか、サム・メンデス。


エージェントのリストを盗んだ悪者を追って、ボンドはイスタンブールのバザールを車やオートバイで追跡します。そして、列車の屋根の上での格闘シーンから、味方の誤射によって列車から川に落下するまでを、息つく間もなく一気呵成に見せます。更に死の底に沈んでいくイメージショットにアデルの歌声が重なり、これぞ007映画と気分が俄然上がっていきます。映画のクライマックスとも言えそうなシーンを、いきなりオープニングに持ってきて、ガツンとカマしてくれるので、ここで終わってもいいんじゃない?と、不謹慎なことを考えてしまいました(笑)。この13分でほとんど元は取った気持ちにさせられます。


本作は各国に潜伏する英国のエージェントの情報が入ったファイルを取り戻すと同時に、ボンドやMを含めた組織の再生を賭けた物語になっています。上海でのアート感覚の格闘シーン、マカオのカジノでの用心棒と繰り広げる小気味良いアクション、MMI6の復讐に燃えるシルヴァ(ハビエル・バルデム)とボンドとのロンドンの地下鉄での追っかけと、それに続く列車の暴走シーンなど、見どころはたくさんあります。



パンクフロイドのブログ-007 スカイフォール2


シルヴァは、審問会に召喚されたMを狙いますが、間一髪のところでボンドに邪魔されます。ボンドはMを連れて身を隠します。その際に使われるのが、シリーズでお馴染みのアストンマーティン。まさしくここしかないというタイミングで登場し、しかもその車を使う意味も映画の中で説明されます。そして、今まで敵に対して防戦一方だったボンドが、初めて反撃に転じる瞬間で、あの007のテーマが流れるのです。まさに反撃のノロシを上げるのに相応しい音楽の使い方。


ハイテクを駆使する敵にボンドたちは、自分たちに有利な戦いの場に移動し、勝機を見出そうとします。そこはボンドの存在意義を示す土地であり、観る者は初めて映画タイトルの「スカイフォール」の意味を理解します。ボンドたちはアナログの武器で迫り来る敵に対抗します。派手なアクション映画は得てして、細部の描写を疎かにしがちですが、サム・メンデスは丹念に伏線を張り巡らし回収していきます。また、007の伝統を踏まえながらも、現在に合った表現方法と演出によって、最大限の効果をスクリーンに映し出します。その緻密な作業と007愛こそ、彼がこの映画に抜擢された最大の理由かもしれません。