南米コロンビア産の異色ホラー 「スクワッド 荒野に棲む悪夢」を観て | パンクフロイドのブログ

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シアターN渋谷【特集!コロンビアの迷宮】 より



1964年に内戦が勃発して以来、ゲリラVS軍兵士による緊迫状態が今も続く南米コロンビア。そんな不穏な情勢下、ある日、山間にある基地との通信が途絶える。軍はゲリラの襲撃を受けたものと判断、9人の特殊部隊が調査に向かう。彼らが基地にたどり着くと兵士の姿はなく、鎖でつながれた女一人と、日誌が残されていた。その日誌に書かれた驚愕の記録と、閉ざされた環境の中、兵士たちは次第に追いつめられていく。部隊の仲間すら信じられず、疑心暗鬼に陥り、やがて彼らは女を殺すために動きだす。



パンクフロイドのブログ-スクワッド1


監督:ハイメ・オソリオ・マルケス

出演:ファン・パブロ・バラガン ファン・ダビド・レストレポ

    アンドレ・カスタネダ

201298日公開


コロンビアの映画を観る機会は、そうそうあるものではなく、今回2作品が公開されるということで、早速どんな映画なのか確かめに行って参りました。


山間の基地に調査に行く特殊部隊には、中尉と軍曹が同行しており、二人の関係の悪化によって、命令系統が一本化できなくなり、統制が乱れていきます。そして、中尉の待機の命令を無視して、隊員が単独行動を取ったことによって、仲間が地雷によって片足を負傷してしまいます。


部隊は隊員の手当てをするため、基地の内部に侵入しなければいけない状況に追い込まれます。内部に入った途端、カメラが隊員の視点に切り替わり、暗闇を進んでいく過程は、ゾクゾクするほどの興奮が味わえます。この時点では、物語がどのように転ぶかも予測できず、次の展開に興味が持続します。


やがて、壁に書かれた文字から、壁一面に飛び散った血の跡と、人っ子一人いない状態になった謎も、おぼろげに見えてきます。そして、壁の中から一人の女が発見され、彼女を巡って対立軸が生まれます。


言葉を発しない女に対して、中尉は根気強く説得を試みようとしますが、軍曹は拷問をしてゲリラの居所を突き止めようとします。その後、女を拷問しようとした軍曹が何者かによって殺され、特殊部隊は益々混乱していきます。この作品が面白く観られるのは、正直ここまで。


本当はここから、手を替え、品を替え、サスペンスを盛り上げていきたいところですが、単調で冗長な場面が続くので眠気を催してきます。女自身の手によって特殊部隊が殲滅されるのではなく、女の影によって内部崩壊していく狙いはよく判り、隊員同士が互いに不信感を持って殺し合いになる展開に、説得力を持たせることができたら、また違ったかもしれません。


最後も観客にショックを与えようと試みるのですが、「悪魔のような女」の切れ味には程遠く、単なるこけおどしに終わりました。前半の南米らしい怪しいムードに包まれた描写が良かっただけに、後半の失速ぶりは残念という他ありません。ハリウッドでのリメイクが決まったようですが、後半の展開に余程の工夫がないと、失敗作に終わる可能性が高いでしょう。