vol.7 本庄有由(75) | 還暦プロフェッショナル

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POINT

1.孤独死ゼロの実現を目指して!
2.あなたの行動を待っている人がきっといる!
3.成功しなくてもいい。とにかく失敗しろ!

「NPO法人 人と人をつなぐ会」はどんな団体ですか?

要介護・孤独死ゼロを目指すためにつくった団体です。具体的には、ケータイを開いたら安否確認のメールが届く見守りケータイサービスや、団地住民の食事会を企画したり、閉じこもりがちな高齢者の男性を対象とした“オヤジの会”を作ったりね。1人暮らしの高齢者が地域で交流できるようなコミュニティー作り、バリアフリーのサービス付き高齢者住宅とかを手掛けてきたんですよ。

若い時からこういった活動に関心はあったのですか?

なかったね。映像プロデューサーの仕事をやってたときは、残しておく映像ってことでやってきたからね。 でも、一度取り組んだことは徹底的にとことんやってしまうんですよ。前しか見えないし、負けたくないって思うじゃない。問題があるんだったら、とにかく行動に移さなきゃね。



活動を始めたきっかけは何ですか?

妻が他界してね、妻が団地の自治会の役員をしてたもんで。僕が引き継いだんです。自治会では米寿の会だとか、孤独死問題、孤独死とかの高齢者問題に取り組んでいたから。それで孤独死に立ち会って衝撃を受けて。 “一人暮らしの高齢者の人達にこんな悲劇を繰り替えしちゃいけない!僕がやんなくちゃいけないな”と思って。

「NPO法人 人と人をつなぐ会」の活動は本庄さんにとって何ですか?

生きがいじゃなかったら、そもそもこんなことしないですよ(笑) 何かをやり続けていれば、何か残るじゃないですか。もし形として残らなくても、人の心にも何か残るかもしれないじゃないですか。それでいいと思ってやり続けているんです。自己満足ですよ。

わたしも福祉を勉強していて、問題に気づいてはいるんですが、誰かがやってくれると思ってしまって行動にうつせない自分がいます・・・

行動しなかったら何もならないでしょう。僕達がやってることは、誰もやっていなくて。でも誰かがやらなくてはいけない問題なんだよ。僕達が先駆者だから、失敗ばっかりで当たり前なの。でも指針が分かってきて、だいぶ見えてきたね。 最初の五年間なんて手探りもいいところでしたよ。高齢者のこと何にも知らなかったんだから。専門家じゃないのにね、マスコミが僕のところに取材に来たりして。



これから取り組んでいきたいことはありますか?

孤独死を突きつめると、“認知症”の問題が出てきたんですよ。だから認知症についてもっと勉強していこうと思って。今はNECと提携して、Androidタブレット端末を活用した認知症対策サービスを進めてるんです。 あと、高齢者問題も大変なんだけど、映像の仕事も舞い込んできたんですよ。 NHKプレゼンツで、以前行おうとしてストップしてしまっていた水銀汚染の問題をJICAと一緒に取り組むんです。水銀を使っている50%は東南アジアで、なんと子どもも水銀汚染の危険にさらされているんですよ。東南アジア全域をやるために、まずはミャンマーに取材に行くつもり。そのために今、体を作っています!

最後に、若者に伝えたいことはありますか?

十割のうち九割失敗。今の日本の風潮だと「失敗しないように・・・」というところばっかり強調するじゃない。だけど本当はそうじゃなくて、失敗しても次にまたやり続けていけば必ず成功するときって来るんですよね。だから、失敗を怖がらないということが大事だと思う。一は成功してるじゃない。九が失敗でもさ。失敗してもマイナスにならないし、何かしら身について、やったという事実は残るから。失敗がなかったら人間は成長しないんだから、とにかく失敗しろ!ってね。 ゼロから始めて失敗しても、行動してたら“誰か”が認めてくれるんだよ。



【編集部より】
わたしも福祉を勉強する者として、本庄さんが孤独死という社会問題を見て見ぬふりをせずこれから自分を見つめなおし、自分のできることに挑戦してみようと思いました。インタビューを通じて本庄さんに出会うことが出来て本当に良かったと思います!

【プロフィール】

本庄さんぷろふ

氏名:本庄有由
年齢:75歳
生年月日:1938年5月9日

1938年、徳島県生まれ。ドキュメンタリー映像プロデューサー。 東京・新宿区の区政モニター、区民会議委員を経て、1998年に都営戸山団地に入居。自治会役員をしていた妻が亡くなり、棟代表となった翌年に孤独死に立ち合う。そのことを契機に、NPO法人「人と人をつなぐ会」を設立。
「孤独死ゼロ・要介護ゼロ」を目指して、見守りケータイの普及とクリニック付き高齢者安心住宅の推進活動に取り組んでいることが話題を呼び、テレビや新聞などでも数多く紹介されている。