vol.6 続木美和子(62) | 還暦プロフェッショナル

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還暦を越えてもいきいきと人生を謳歌する大先輩のインタビュー記事を公開しています

”子ども””地域”の為に、自分に何ができるかを探している君へ

















POINT
1.原動力は子どもの笑顔!
2.続けていれば絶対何かが変わる!!
3.生きている限り自分の存在価値を感じていたい!!

続木さんが経営している「本の家」について教えてください。

今から30年ぐらい前に、お客さんとして通っていた絵本屋さんがあったんですけど、閉店してしまうということで、当時常連客だった私がお店の経営を引き継いだんです。絵本というのは、子どもがはじめて読むものだから、関われたらいいなって、ずっと思っていたの。

「NPO法人 時をつむぐ会」はどんな活動をしている団体ですか?

絵本・児童文学を通して「子どもたちの健やかな成長」と「地域文化の向上・発展」を目指している団体です。ニュース・勉強会・講演会・絵本原画・原画展を開催していて、次の世代を担う子どもたちを育む環境作りを行っています。一番印象深かった活動が、市制100周年記念で、2000年に「はらぺこあおむし」の作者エリック・ カールを呼んで展覧会を開いたこと。私が直接アメリカまで出向いて、日本に来てもらえるよう交渉をしました。大きな会場を使って、かなり多くの人に来て頂いて、すごい嬉しかった!!色々活動して忙しいんだけど、多くのボランティアの方に手伝って頂いています。

そもそも、なぜ「NPO法人 時をつむぐ会」を設立しようと思ったのですか?

「時をつむぐ会」は、最初はただの“絵本好きの奥様の集まり”だったの。何回か絵本の原画展を開催していて、こんな事は役所でもやってないし、どこかの企業がやっている訳でもなかった。だけど私たち主婦が生活していくうえで、「もっとこうだったら子育てしやすいよね」とか、「自分たちだったら、こうしたいよね」とか、そういう事を、集まった奥様たちで実現していました。

NPO法人の設立までの経緯を教えてください。

1994年から本の展覧会をやっているんだけど、沢山の人が来てくれて、お金も沢山入ってくるわけ。でもお金って結構不透明な所があるから、周りの人に儲かってるなって思われているんだけど、その分費用もかかっているの。でもその部分はなかなか見えにくいから、困っていました。そしたら、群馬大学の先生やNPO関係者が、「こんなにボランティアと協力して成り立たせている団体は凄い!ぜひ、NPOにした方がいい!」と言ってくれて。それで、2001年にNPOの法人格を取得しました。NPOにすることで、役所からは、“ただの奥様の好き勝手な会”じゃなくて“信頼できる団体”として、見てもらえる事はとても大きな事です。色々と活動もしやすくなりますしね。




閉鎖された遊園地を“新しく作り変えていく”活動を行っていますが、そのきっかけは?

昔、私のお店に来てくれた若いお母さんたちと、「子どもたちが自由に遊べる場所が無くなってきてる」って話をしたの。健康な体を作る為に、子どもの時に手足を使って遊ぶことはすごく大事なことなのに。それで、子どもたちの為に、“私にできることはないかな?”って考えたの。それで、カッパピアという閉鎖された遊園地を、「子どもたちのために遊び場として作り変えていきたい」って思ったの。地元の人だったら誰もが行ったことのある思い出のある場所で、私みたいなお年寄りと子どもたちが一緒に体を動かしながら遊べるなんて、とても良いことでしょ?経験豊富なお年寄りが、自分が体験した事を子供たちに教えてあげたりとか。

“子どもたちが元気に遊べる場所づくり”を実現するのは大変だったと思います。やりたいことを貫き通し、実現するためには何が大切ですか?

私の場合は実現させるために10年かかりました。と言ってもまだまだ途中の段階です。子どもたちに学びながら遊んでもらいたくて、ドイツ人のケルナーさんという人の遊具を設置したいと思っていたんですね。ケルナ―さんは、「安全な遊具なんてものは世界中探してもどこにもないんだよ。危険を回避する能力を子どもたちに育てるための遊具を作ってるんだ」って言いきっている人で。その遊具をカッパピアのシンボルとして設置したくて、でも日本ではそれが認められなくて。それで、色々調べて役所や遊具メーカーに掛け合ったりして10年間活動してきて、やっと、最近になって市長さんが協力してくれて何とか設置出来るようになりました。自己満足でやるんじゃなくて、“色々なところに発信しているんだぞ”っていう気持ちでやることが大事だと思うの。

最後に、続木さんが叶えたい夢は何ですか?

定年退職して「自分は必要とされていない」と思っている人がいると思うの。でも、長く生きてきた分だけ、きっと何か持っているの。何にも無い訳がない。生きている限り“自分が必要とされる環境”って必要なんだと思うんです。それを実現出来る場所づくりをしたいと思っています。自分が必要とされ続けながら、死ぬまで暮らしていける場所。私の場合だとカッパピアがすぐそばにある、ここ高崎。そこで一生を終わらすことができるっていうのが一番の夢かなって。少しずつでもいいから続けていけば“絶対何か変わる”と思います。続けることが本当に大事よね。



【プロフィール】

続木さんぷろふ

氏名:続木美和子(つづき みわこ)
年齢:62歳
生年月日:1951年4月30日

北海道女子短期大学卒業。
代の絵本画家原画展を群馬県で開催するために「時をつむぐ会」を結成。
その後、毎年高崎シティギャラリーで絵本原画展を開催し、主婦を中心とした人たちの活動が10年続いている。
2000年に高崎市市制100周年記念事業として、アメリカより『はらぺこあおむし』で知られる、エリック・カール氏を招き展覧会を行った。
入場者数18,837人を記録。2011年長年の活動により、群馬県総合表彰を受賞