4月にこの記事を読んで、そうだよな、と同感したのでセーブしておいたのだが、昨日ふと元動画(記事中に出てくるYouTubeで視聴できるやつ)を見てみたら興味深くて全部見てしまったので、音楽関係のところだけかいつまんで紹介する。
https://www.barks.jp/news/?id=1000181303
KISSは全く知らないし聞いた事もないんだけど、いやぁ、この人好きやわ。英語が発音も文章も非常にわかりやすくてスルスル頭に入ってくるし、頭の良い人だな、と感じた。記事中にリンクあるけど、貼っとく。
https://www.youtube.com/watch?v=vxPeXY2P35E&feature=emb_title
4月12日のインタビューで、分断されたアメリカの現状や(この部分も良い)、音楽について話している。記事ではインタビュー中の、ボーカリストとしての話のほんの一部のみを紹介しているけど、他の部分もとても面白い。英語もゆっくり目で聞き取りやすいのでおすすめです。たまにわかんないとこあったけど。
音楽の話は22分くらいから。記事に訳されている部分は24分くらいから。
Tony Bennettの声の話が出て来て、Has his voice changed? Yeah, but it (now) has poignancy and vulnerability it didn't have. Those years of wear and tear makes it more glorious.といっている。素晴らしい…。
ワシ訳
彼の声は変わったか?変わったよ。だけど、以前にはなかった切なさとか脆さとか、そういうものが今はある。長い年月の間に喉は疲労しているだろうけど、それが(彼の声を)いっそう輝かしいものにしているんだ。
注:ここで使われているpoignancyって訳すの難しいと感じる。英和を引いてみたら、(かたく)鋭さ、激しさ、痛烈、辛辣;痛切;感動 とあった。英英で類語をチェックすると、1.intensity, 2. emotion で、ここでは2の方。pathos, sadness, feeling, sentimentality, unhappinessなんかが挙げられている。派生元のpoignantを引くと、keenly distressing to the feelings, keen or strong in mental appeal, affecting or moving the emotionsで、私の感じる語感と合う。英和の訳で言うと「痛切」がまぁ合うかなと思ったけど、「切なさ」としてみた。Toshlさんの声に私が感じるのはコレなんですよ。
インタビュアーのRichard MarxはKISSのコンサートに行きたい年頃の12歳の時に親にTony Bennettのコンサートに連れて行かれたのがBennettを聞いた最初で、一番最近では1−2年前にBenettが90歳の時のコンサートに行った時らしく、そりゃ、5年前、10年前と比べても声は変わってた。でも、音域が変わってないんだよ、あの音域の声をあんなにパワフルに出せるんだよ?平伏したよ、とジェスチャー付きで熱弁。
それに対しPaul Stanleyが、He is a beacon of light when he sings, he is beaming. He is a gift. He really is. I'm a huge, huge Tony Bennett fan. と返していた。
この後、MarxがStephen Tylerを一例として挙げたのに対し、Stanleyはum, ah...と言葉を濁し、代わりに、Let's talk about Rod Stuartと舵を切ったのであった。
Rod Stuartについても、70年代に聞いて吹っ飛んだけど、彼の声だって変わっている。でも、he still is...emotional fraility and vulnerability...openness when he sings...but his talent is so deep, his interpretation of songs is so far beyond what some other people do. と、ここでも「emotional fraility and vulnerability」と、「脆さ」や「切なさ」といったもの、心の琴線に触れる何か、というものを高く評価しているのがわかる。
オペラ座の怪人に出演した時のエピソードに絡んで、a key to great singing, other than somewhat pitch accuracy, is understanding what you are singing...they (Tonny BennettやRod Stuartなどの大歌手達)are inside that lyric, they haven't memorize the lyric, they understand the lyric.
素晴らしい歌というのは、もちろんピッチの正確さってのもあるけど、どれだけ歌を理解しているかなんだ。Tonny BennettやRod Stuartが歌う時、彼らは歌の中にいる(歌を生きている、歌を本当に感じている)。彼らは歌詞をただ覚えてるんじゃなくて、理解しているんだ。
Pavarottiも似たようなことを言っていたけど、ここも、ウンウンとうなづいてしまった。
They go far beyond pitch accuracy, they are inside the song.
When you see these people do these 'runs', it misses the point and just becomes gymnastics, know the lyrics, know the singing, emphasize with it, become a part of it (is important).
Runsがわからないんだけど、まぁ、コンサートやショーのことかな?「歌う事」とも取れるけど、それが、単なるgymnastics(運動、体操)になってしまっている、というのは要は外側の形だけでアートになってないという意味だと思われる。ピッチが正確で声が出ていて、というだけでは歌じゃないんだ、歌詞を理解し、歌の世界を理解し、歌を生きるんだ、というような話。
インタビュアーの人の語ったエピソードで面白かったのが、テレビのタレント発見ショーみたいなので、ある出演者がグワ〜ンと歌い上げていたらしいのだが、一緒に見ていた歌手のルーサー・バンドロスがそれを、Sing TO me, man, not AT meとバッサリ切ったという話。
それを聞いたStanleyがすかさず、
And to sing to you, you have to tell a story.
と返す。
会話のテンポがいいし、内容がある。久しぶりに楽しめたインタビューだった。
そしてStanley氏の語る歌とはなんぞやという話を聞きつつ、どなたかの顔がチラついたのは言うまでもない。
彼の声も変わっていくだろう。私が大好きな高音域の超音波クリスタルボイスは失われるかもしれない。でも彼が60歳、70歳、80歳になった時にその歌声はきっとgloriousなものになると信じられるだけの深みが近年の彼の歌にはある。
てか、ひとまずそれくらいまで、健康で長生きしてくれ!

