「情報」と国家戦略/太田 文雄

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元自衛官(防大14期)にして、防衛庁(現 防衛省)情報本部長だった、太田文雄さんの著書です。


情報マンとしての心構えや、アメリカ留学や勤務経験のエピソード、アメリカの国家戦略の思考過程の解説や日米同盟に対する所見など・・・


インテリジェンスのみならず、それを踏まえた戦略デザインに関する知識を得ることができました。



太田さんは、情報マンとしての心構えを四天王にたとえて論じています。

・多聞天
多くを聞く

・広目天
広く観察する

・増長天
微細な変化を見逃さず、増加増長させて察知する

・持国天
国家(組織)を保持しようとする忠誠心

・四天王が天の邪鬼を踏みつけている意味
天の邪鬼とは、自身の欲望。欲望をコントロールし、裏方に徹すること。


広く深い知性を感じます。



中でも"孫子の兵法"の重要性を説いてらっしゃります。

"戦わずして勝つ"


巻末には、氏の考えを整理した「魅力戦略」という論文が掲載されております。
作成が1991年です。

本論文に近い内容として、ジョセフ・ナイ博士の「ソフトパワー」が2004年に出版されていることを勘案すると、氏の先見性や戦略眼の素晴らしさに感銘です!



近年の自衛隊の活動は、大災害派遣や海外支援など、まさにカラダをはっての活動が目立ちますが、それを裏支えしているのが、本書のような"智"なんだなぁと感じました。


防衛省も、キャリア官僚と自衛官を同列に扱うべきでは⁈

この本を一読すると、どちらに国家戦略を委ねるべきかが一目瞭然です。

もっともその前に、大臣(政治家)ですね(笑)




"インテリジェンス"読書、継続中!