先日の救急外来で![]()
寒い中散歩していたら、座り込んでいたと来院した様子。
重症感はあまりなく、よくわからんけど血圧が70から上がりませんと当直医からヘルプのTELあり。
症状なし
低体温
などと考えながら ちょうど院内にいたのでてくてく救急まで降りて行きました。
(この時点であまりテンションあがらず・・)
しかし一目みると顔面がうっ血気味![]()
一気にアドレナリンが噴き出ました![]()
心エコーを用意しながら話しかける
意識は清明、呼吸状態・酸素化は悪くない
ABDはいい様子
問題はC
低血圧、頻脈、言わずと知れたショックです
頸静脈怒張あり![]()
寒い中歩いていたら気分不快があり、その後突然失神した様子
いまは上腹部の重苦しい感じのみ
「突然」は心血管系の危険信号
しかも「失神」までしている
(意識がなくなったから胸痛もなかったのでしょう)
症状からはコブ(大動脈瘤)の破裂も考えられますが、顔面のうっ血と頚静脈怒張は合いません
すでにとられていた心電図ではST上昇なし
すかさず当てた心エコーではやはりフリースペースあり
心嚢水です
しかも凝血塊のようなものがぷよぷよ動いています
経過からも真っ先に大動脈解離による心タンポナーデを疑います
エコーでもフラップは見えないものの、上行大動脈拡大気味?
聞けばもともとは高血圧で降圧薬も飲んでいると。
普段は血圧140ぐらいですと。
この時点でほぼ決まりです![]()
心停止になった時に備えて心嚢穿刺の用意をしつつ、ポータブルの胸部X線のみまず撮ってもらいました。
典型的な上縦隔の開大と大動脈弓のシェルエットと石灰化との距離が開いています。また心嚢水により左第4弓が丸みを帯びて拡大(突出)しています。
(画像はクリックで拡大します)
循環器科に応援を呼びつつ、当院には心臓外科がないため転院の準備。
やはり転院後の治療方針のためにもCTを撮るしかないだろうとのことになり、おそるおそるCTへ。
転院するまで冷や冷やものでした
単純レントゲンで見えたように大動脈弓周囲の石灰化像が内側に偏移しています。これがあると石灰化するのは内膜なので、単純CTでも大動脈解離があることがわかります(逆に内膜が石灰化していないと単純CTではフラップは見にくいです)
やはり心嚢水がだいぶ貯留しています。また「心タンポナーデ」とは心嚢水により心室拡張障害がおこり、静脈環流が障害障害されて血圧が低下するなど症状がでている症候名であり、画像所見として「心タンポナーデ」とするのは誤りだと思います。慢性に貯留した癌性心膜炎、結核性心膜炎などではこのぐらいの心嚢水貯留では「心タンポナーデ」になっていないことも経験します。
↑この辺が穿孔部でしょうか?(上行大動脈の右側のもやもやしたあたり)。来院後は症状や心嚢水の量に変化は見られなかったので、おそらく血圧低下してくれたため血栓閉塞したものと思われます。
大動脈弓部の限局的な解離のため典型的な背部痛などがなく、しかも発症時に失神しているので胸痛も分からなかったのでしょう。
(何か間違った所見などあればご指摘ください)
顔面のうっ血(もちろん頚静脈怒張も)は閉塞性ショックのサイン![]()
心タンポナーデ
緊張性気胸
肺血栓塞栓症
などの鑑別が必要です
決して「休日だからって昼間っから飲んじゃったの
」 などと聞いてはいけません。緊急事態です。
くも膜下出血、大動脈解離、肺血栓塞栓症などの重大疾病は失神で発症することもあり要注意です。
失神していると「突然」発症の頭痛や胸痛を感じることも訴えることもできません。






