私が大学を出るまで,8年の歳月を
要することがわかってから
私はすでにあることを決めていた

それは公務員を目指すことだった

採用試験の点数が需要視されることは
学歴に傷のある者には好都合だ

私は転専攻することを決めた頃から
公務員試験の勉強を始めていた

しかし一般教養はなんとかなっても
専門科目がどうもダメだった

行政学,経済学,法学……
苦手の文系科目だらけである

高3のとき「政治経済」の授業中に

教室の最後列でキャッチボールを

していた自分を呪ったが

完全に手遅れだった

実際に公務員試験も数回受けてみた
やはり,一般教養で受かっても
専門科目で落ちてしまう

「やはりこれはダメなのか」と感じた
大学の7年目の春


私は教育学を専門科目とする
公務員試験を発見したのだ

それは裁判所の職員である。

裁判所の職員なら法律学が専門だ
だが,その職種は教育学で受けられたのだ

その職種とは


家庭裁判所調査官補

この試験は,一般教養のほか
教育学,社会学,心理学を選択できる


教育学は,教育社会学,教育心理学
教育原理,生徒指導の4科目である

家庭裁判所の調査官とは
家庭内のさまざまな争議
離婚の調停や,少年事件の裁判資料を
実際に当事者と面談をしてつくる
そういう仕事だった


私にぴったりの仕事だったし

I教授は調査官の研修をした人である

だが,この試験は年齢制限があり
26歳までしか受けられない


私が大学の8年生になった年が
最後のチャンスになるのだ

25歳のとき,まず試し受験をしてみた

合格率25%ほどの一般教養は合格
そして8月に専門科目試験を受けた

 

公務員試験は,普通「五択」だが

調査官は文章力を求められるため

「論文試験」だった

 

朝9時ぐらいから夜の8時ぐらいまで

ずっと原稿用紙に向かって書き続ける

 

完全に準備不足だったが

どういう感じなのか,よい経験ができた

 

完全に筆が止まった私は

試験の途中で帰ることにした

 

ちょうど,教区キャンプのスタッフとして

山に向かうところだったので

リュックを受付に預け,帰り際に

「また来年来ます」と受け取ったが

係官はびっくりした顔していた

 

さすがに,キャンプにいく格好で

試験を受けに来る人は珍しかったろう

 

 

私はその年を境に

教区キャンプから完全に足を洗った

 

教会活動にもほとんど力を入れず

勉強に精を出すことになるのだった

 

(それでも,週末は仲間が集まり

 麻雀と飲み会は続いていたが……)

 

そして,いよいよ勝負の26歳

 

私は大学8年生を迎えるのであった