高校に入ってすぐに始めたのが生徒会活動である。


T先生の影響で、そういうことに興味を持ってしまったこともあると思うが、

そろそろリーダーシップをとるのもいいだろうと考えたのである。


クラスの代表はクラス委員なのだが、それはクラスをまとめるのが仕事である。

各クラスから一人ずつ選出されて、学校全体のことを決めていくのは評議員であり、

評議員によって構成される評議会は、行政府である生徒会の活動を支える、いわば立法府である。


私はとりあえずこの評議員に立候補した。

高校に入りたてで、人間関係ができていないときに立候補したので、実に簡単に承認された。


評議会の中から、さらに議長団というものが選ばれ、評議会や生徒総会で議事進行を司る。

私はやがてその議長団の一員となり、生徒総会を取り仕切るようになるのだが、これが面白かった。


生徒総会は授業をつぶして行うので、なるべく引き伸ばそうとする。

ときには真剣な討論も行われるのが、どうでもいい議題のときは、集計を遅らせたり、

わざとゆっくり話したりして、時間を伸ばす。


次の授業時間に入って10分経つと、その授業はなくなる。

千人近い生徒が、カウントダウンをしながら、歓声をあげる有様は壮観でもあり、滑稽でもあった。


しかし、そのとき一つ上の先輩の中に、いずれ総理大臣になられる方がいらっしゃることを、

私たちは知る由もなかったのである。


実に目立たない先輩で、在学中はその存在を知ることはできなかった。


どんな気持ちで生徒総会のあの喧騒をお聞きになっておられたかと思うと、

恥ずかしいことこの上もないのである(^^;;。


生徒会室は第一校舎の最上階の一番北側にあって、ガリ版印刷に使うインクの匂いが常に充満していた。


その部屋を初めて訪ねたときのことを書いておこう。