入試の当日のことは、さすがによく覚えていないが、思いもかけない結果が待っていた。
自己採点ではあるが、英語は98点、理科が91点、苦手の社会が92点だったことは驚きだった。
社会の先生の予測が当たり、世界地理にオーストラリアが出たことが大きかった。
国語は記述があるため定かではないが、およそ80点はとれていたと思う。
そして、最も自信のある数学である。
3回見直しをした。最後の1秒まで使って念入りに。満点は確実である。
テレビの解答速報を見ながら、赤ペンで採点する。
次から次へと丸がつく。
当たり前である。
間違えるわけがないのである。
ところが、ある大問から、テレビがいきなり私と違う答えを言い始めたのである。
⑴からまちがえると連鎖で⑶までアウトになる。
冗談ではない!
解き直す。
私の答えは合っている。
もう一度。
やっぱり合っている。
テレビの答えが違っているのだ!
これはもう電話するしかない!
新聞でテレビ局の電話番号を調べ、受話器を取り上げたときである。
テレビがこう伝えてきた。
「えー、この問題、答えは小数点以下を切り捨てよとありますが、
四捨五入しちゃう人がいるんですよねぇ!」
なに〜〜〜〜〜〜〜〜〜(>_<)(>_<)!!!
問題を読み直すと,確かに「切り捨て」とある。万事休すである。
「切り捨て」→「概数」→「四捨五入」
私の頭の中はこうなっていたのである。
およその数なら四捨五入じゃん…である。
まさかの「切り捨て」である。
イエス・キリステである。
切り捨て御免である。
もうなにかなんだかわからなくなって、受話器を持ったまま、呆然とテレビの画面を見つめる私であった。
一つの大問のすべてを失った私の数学の点数は80点弱。
しかし、理科、社会がまあまあの点数だったので、何とか合格することができた。
「慢心こそ恐るべし」
深い教訓を残して,私の高校受験は幕を下ろした。
そして,T先生は無事に再び教壇に立つのであった。
ところがである!