『電話帳』に取り組んでいくと、あることに気がついた。
どの都道府県でも、理科や社会の問題の中には何度も出てくる問題があるということである。
「あっ、またこのパターンだ!ラッキー!」
「答えは…よし、あってる!」
これを繰り返している間に、だんだんポイントがわかってきたのだ。
さらに、毎日全体的な内容を振り返ることになるので、復習効果が抜群であること。
特に国語の点数の上がり方が顕著だった。多くの場合、国語は答えが本文に書いてある。
それを探せばよかっただけなのに、何か余計なことを考えて失敗していただけだったのだ。
そして、2学期の最後、私は一大決心をした。
F高校に受かるまで、勉強に集中したい。
あのクリスマスイブからちょうど1年。
彼女のOと、学校帰りに津田沼のパルコの屋上に寄り、宣言したのである。
僕はどうしてもOとF高校に通いたい。
だから死に物狂いでがんばりたい。
これから高校入試が終わるまで、君とはいっさい会話をしない。
もちろん学校の行き帰りも離ればなれで、目を合わせることもしない。
でも、いっしょにF高校に合格したら、春休みにデートしよう。
たかが高校入試。そんなにストイックにならなくても…というところだが、
でもそのときは真剣だった。
そして、Oは快く受け入れてくれたのである。
そして、勉強漬けの年末年始を終えて、3学期の始め。
すでに正式な資料にはならない、本番の練習用の模試で、
私は初めて偏差値70の壁を突破したのである。
しかし、これでF高校の受験が決まったわけではなかった。
受験するための最後の関門は、
教員による「進路会議」で承認を得ることであった。
この会議で、T先生は思わぬ発言をするのであった。