私のクラスメイトの優秀さを示す、エピソードをいくつか書きとめておきたい。

もしかすると、そんなことは当たり前だと思われる方もいるかもしれないが、

凡人の私にとってはかなりショッキングな状況が実在したのである。


1学期の初め、真新しい教科書をもらうと、いつ折り目を入れるかが悩ましい。

しかし、優秀な人間はそこから違うのである。


中3の教科書をもらった翌日、二人の優秀民が教室で話し合っている。

優民1「なぁ、公民の教科書の◯◯◯ページの◯行目なんだが、おかしいと思わなかったか?」

優民2「僕も気になったんだ。あの学説はまだ検討の余地があるはずだよな」


私は数人の凡人と、教室のすみからそれを見ていたのである。

私「かれらは、なにやってるの?」

凡人1「あいつらは一晩で教科書を読み切って、その内容を覚えているんだ」

凡人2「どのページのどのあたりというところまで記憶してやがるんだ」

私「……人間じゃないなっ(>_<)!」


またあるときは、2人の人間が向かい合って腕組みして座っている。

それを10人くらいが囲んでいる。


優民3「◯◯飛車…」

優民4「◯◯金…」

取り巻き「お〜〜っ!」


またしてもそれを遠巻きに見ている我ら凡人連合である。

私「かれらはなにをやっているの?」

凡人1「将棋だよ」

私「だって将棋盤も駒もないよ」

凡人2「頭の中でやっているんだ」

私「うそだろ!」


チャイムがなる。

授業が始まる。

優秀民たちは、ハイハイと手をあげて、積極的に教師の発問に応えている。

再びチャイムが鳴り、授業が終わる。


すると、すぐさま円陣が復活し、頭の中の将棋が始まるのだ。

集中して授業に参加しているにも関わらず、彼らの頭の中の将棋盤は消えないのであった。


それを見て感心していた私は、授業などもちろん上の空であったので、

落ちこぼれるのは当たり前のことであった。


しかも、彼らを見て感心しすぎた私は、まちがった選択をしてしまうのであった。