2学期の最終日といえば、今でも大概クリスマスイブである。

 

その日,それほど芳しくもない成績表をいただいて,

しばらく会えなくなる仲間とはしゃぎながら,学校から駅まで歩いていた。

 

駅前の中華料理屋の前にさしかかったときである。

背後から,何かが猛スピードで近づいてくる気配を感じたのであった。

 

咄嗟に振り返ったのと、Oが私の胸にプレゼントの入った袋を押し付けるのがほぼ同時であった。

 

「はいっ!これっ(>_<)!」

「あっ!」

のあとの「りがとう」を言う前に、Oの姿ははるか前方に小さくなっていた。

 

女の子から初めてもらったプレゼントはスヌーピーの置物だった。

台のところには「I love you!」と刻まれている。

いっしょに入っていた手紙には、「まだI like you!だけど…」とご丁寧に注釈が書かれていたが、

私の心は、もうそんな些細なことはどうでもよかった。

ジブリの「おもいでぽろぽろ」で、主人公が空への階段上がっていき、

やがて雲間で横泳ぎをする…そんな気分であった。

 

新学期まで会えなくなるため、手紙でお礼を書いたのだと思うが、それはさっぱり覚えていない。

 

そのプレゼントを渡すシーンは、多くのクラスメイトなら目撃されたため、

僕らの交際はクラス公認となっていった。

 

中3の終わりまでに,同じクラスにできたカップルは4組あったのだから,

なかなかお盛んなクラスであったのだが,私たちはそのトップバッターであった。

 

その後,私たちは同じ高校に進んだのだが,高1の終わりに分かれることになる。

その経緯はまたの機会にするが,それより驚いたことがある。

 

30代のころに届いた同窓会の名簿をひも解いたときのことである。

 

なんと,中3の4組のカップルのうち,

2組が結婚していたのだ!

ありえない話ではないのだが,障害の伴侶を中学時代に決めるなんて

…実に頭が下がる思いである。