小学校3年生以降の成績は,各教科ともA,B,Cの3段階評価であった。
そして、最終学年。N先生は,単元のテストで平均90点以上取れれば全員“A”にするという
絶対評価を導入し,我々は大いに奮起したのである。
しかし、生来うっかり者である私は、相次ぐ計算ミスが響いて、
算数の平均だけが89点にとどまり、“B”の評価をいただいたのであった。
そんな私が、今では算数の講師として45年の間塾の世界に身を置いているのだから不思議なものである。
これについては、またの機会に話すことになろうと思う。
さて、これは私の小6時の成績表である。
N先生のコメントが秀逸なのだが、達筆&画質の悪さゆえ、打ち直すと以下のようになる。
一学期
「社会科は少々努力を要する。いつもながら現状肯定的な呑気さが飛躍を阻んでいる。充分な力をさらに伸ばすべきであろう。」
二学期
「学習態度は無難というところだが、あるいは苦労が少ないかも知れぬ。自分の力以上に挑みたいものだが。」
もうすこし褒めてくれてもよさそうなものであるが、まさに私自身を象徴する文章である。
無理せず、衝突を避けて無難に生きる。
なるべく苦労しないように、楽をして、でもサボっているように見えないように、
自分の力の範疇でできること以上のことには手を出さず、
それなりに65年間生きてきた。
あのときこうしていれば?
と思うことも多々あるが、そうできなかったのが自分という人間なのである。
それはそれで十分愛おしい。
おちゃらけてわらいをとることに情熱を燃やした低学年。
いじめに苦しんだ中学年。
そして、ヒーローになった高学年。
それなりに有意義な小学校時代の幕が降りようとしていた。