サッカー大会の決勝トーナメントは,翌日、
地区予選を勝ち抜いた4チームによる勝ち抜き戦である。
初戦は大学の正門前にある公立小学校で,紫のハチマキがかっこいいY小であった。
体格が小さい選手がそろっており,とにかくすばしっこい。
試合はなんと0-0のまま延長へ,さらに延長戦でも決着がつかず,PK戦にもつれこむ。
ところが,5人で片が付かず,さらに5人が追加され,計10人のPK戦という展開に。
私は後半途中で退いていたので,PK戦に参加できず,ベンチで声援を送っていた。
実は,試合中に,相手のFWが執拗に私の右足を狙ってスライディングを繰り返し,
もともと痛めていた右足が限界になってしまったのである。
ファウルか否か,実に微妙なスライディングで,イエローカードは1枚しかでなかった。
おかげで,それから半世紀が経った今でも,右足首はときどき痛む。
結局,試合はPK戦でも決着がつかず,コイントスで我がチームの勝利と決まった。
コイントスで決着だなんて,負けた相手チームは納得いかなかっただろう。
しかし,ファウルの数は圧倒的に相手方が多かったのである。
今なら得失点差とか総得点とかを加味するところ。
そういえば,最近はファウルの数もカウントされてなかったかしら…。
というか、こんなことなら最初からコイントスでよかったんじゃね?と誰もが思ったものである。
そして,決勝。
今度は体格の大きい選手が目だつT小である。
しかも,個人技に秀でた二人組が,巧みなパス回しで中央突破を仕掛けてくる。
試合開始直後に1点を失ったが,何とか前半終了間際に同点に追いつく。
ベンチスタートになった私だが,満を持して後半に投入される。
中央突破をやってくる2人を徹底的にマークし、簡単にパスを渡さない。
やがて味方が得点し、2ー1で試合終了!
見事、優勝を果たしたのであった。
今のように、簡単に動画や写真が撮れる時代ではなかったが、
感動の記憶を頭のすみにしっかり刻みながら、小学校のサッカー生活はピリオドを打った。
選手前列右端が私,左から二人目がS君である。
ふと気がつけば、卒業式が間近になっていた。