第二試合も我がチームは攻めに攻める。
ところが、何度も決定的なシーンをつくるものの,すぐに線審の旗があがり、試合を止められる。
個人技ではなく、右に左にパスを回し、相手のディフェンスを混乱させる。
そして、シュートチャンスをつくる。
我がチームは、そのように訓練されていた。
ところが、このときの相手は、オフサイドトラップを仕掛けてきたのである。
前線にパスを送ろうとすると、スッとオフサイドラインを上げられて旗が上がる。
前半を0−0で折り返したハーフタイム。
監督から,相手のディフェンスラインがつくられる前に
早めに前線にパスを出すように伝えられる。
これが功を奏し、後半が始まるとまもなく味方のヘディングシュートが決まった。
1−0。これで守りきれば明日に進める。
それでも、もう1点を取って勝利を確実にすべく味方は攻める。
私はそのときセンターラインよりすこし後ろにいた。
すると、敵のクリアボールが私の前にコロコロと転がってくる。
トラップもせず,ダイレクトにインサイドキックで前線に山なりのボールを送る。
少し強めに蹴ってしまったせいか、ボールはストレートにゴールの真ん中に飛んでいく。
しまった!相手のキーパーにパスしてしまった~(>_<)!
と思ったときである。
相手は前がかりになって,攻めに転じていた。
キーパーもつられて5mほど前進する。
その上を,私の蹴ったボールがいきなり戻ってきたのである。
慌てたキーパーは,ジャンプして軍手をつけた右手を伸ばす。
しかし…届かない。
ボールはそのまま静かにゴールに吸い込まれ,ネットをゆらした。
2点目のゴールである!超ロングシュートの達成であった。
私はチームメイトにもみくちゃにされ,校庭は我が校の生徒の声援で湧き上がる。
その中で黄色い声援を上げたのが,同じクラスの女子たちであった。
「○○~!」と私の名を叫ぶ。
あとで知ったことだが,その頃私は女子の間で少々もてていたらしい。
しかし,そんなことにはわき目もふらず,一心にボールを追いかける。
そういう姿が,また女子の恋ごころを燃え上がらせるのであった(^^;;。
それはさておき,
インナーに選ばれたときから、私とSくんはロングシュートの練習をしてきた。
利き足が右の私が蹴ったボールは、やや左に曲がる。
そこで、ゴールの右上端を狙って蹴る練習を冗談まじりにやっていたのである。
その効果が表れた…というのならちょっとかっこいいのだが,
結局のところ,私はパスを出しただけであった。
もみくちゃにされながら,どこか恥ずかしさを感じた私であった。
その日は,珍しく母も観戦に来ていた。
それを見つけたN先生は,「お母さん,いい日にいらっしゃいましたね!」
と話しかけられたそうな。
小学校生活,最高の一日のエピソードである。