中学入試が終わって,あとは卒業を待つばかりとなった1971年の2月。
満を持して,市内の小学校サッカー大会の日がやってきた。
私もSくんも無事にレギュラーを勝ち取って,本番前日まで練習に汗を流していた。
ところが当日、続いていた悪天候により、予定していたグランドが使用不能に。
すると,最も状態の良い我が校のグランドが、急遽予選と決勝の会場になったのである。
全試合がホームグラウンドという幸運に恵まれて,我々のテンションはマックスになる。
参加したチームは12チーム。
大会は2日だけだが,初日は3チームによる総当たり戦。
現在と同様の勝ち点制で,トップのチームが翌日の決勝トーナメントに進む。
初戦は4-1で圧勝。私は,前半だけで,後半は後退させられた。
体力的に不安があったこともあるが,練習中に右足首を捻挫しており,
第2試合に全力を尽くすための交代であろうと勝手に理解した。
インナーというのは,なかなか大変なポジションである。
味方がボールを取るや否や前線に向かって走りだし,攻撃に加わる。
敵にボールを奪われると,今度は自陣に向かって疾走し,守備に加わる。
最も運動量の多いポジションだが,Sくんはここでも交代なしに全試合戦い通したのである。
中学入試が終わって間もなくなのに,いったいどこにそんなエネルギーがあるのか。
センターのインナーとして,試合をコントロールする重要な役割をこなしていたのである。
そして,第二試合は,われらと同じ相手を,やはり軽くいなして勝ったチームとであった。
いよいよ決勝トーナメントをかけた戦いが始まる。
そこで私はとんでもないことをやり遂げるのであった。