次の日曜日、早速Sくんを連れてテストを受けることになった。

 

お決まりの水曜日ころに答案と、成績優秀者の表が郵送されてきた。

私はだいたい50位くらいに名前が載っていたが、Sくんの名前はない。

全く準備なしで受けているのだから当たり前である。

 

木曜日、学校に行くと、Sくんを中心に人だかりができている。

 

何かと思うと、Sくんがテスト会の成績優秀者の表をみんなに見せている。

「見て見て!Mってすごいんだよ!名前が載っているんだ!」

「頭がいいんだ!僕なんかかすりもしないよ!」

「いや〜!Mはすごい!かっこいいよぉ!」

 

「S,やめろよ〜(^^;;」

くすぐったいような、恥ずかしいような…。

でも、悪い気は全くしなかったのは、Sくんが心の底から私を褒め称えてくれたからである。

 

翌週、私は30番くらいに順位を上げた。

Sくんのテンションは上がる。

「すごいよM!20番も上がったじゃないか!」

「みんな見てくれよ!Mはすごいんだよ!」

ざわつくクラス。

 

しかし、そのとき、成績優秀者の一隅に、Sくんの名前があったのを私は知っていた。

「Sの方がすごいよ!2回目でもう名前が載っているじゃないか!」

「いやいや、僕のはまぐれだよ!Mの方がすごいよ!

 30番だぜ!みんなぁ、すごいよなぁ!」

 

Sくんは、この頃から私をやたらと褒めまくった。

テスト会だけでなく、いろんな場面で、とにかく「Mはすごい!かっこいい!」を連発した。

 

誰よりも優秀なSくんのいうことだから,なおさら信用される。

私はいつの間にかクラスのヒーローになりつつあった。

 

しかし、そんなことに喜んでいられないことがすでに始まっていたのである…。