再び、小1時代に話を戻そうと思っていたところに話題が転がってきた。

 

埼玉県の児童虐待防止条例

である。

 

あまりに過激な内容で、

多くの親たちから反対署名が集まり、

取り下げになったことはまことに幸いである。

 

小学校3年生以下の児童や幼児に対して,

次のような行為が「虐待」に当たるとされていた。

▼子どもを車の中に置き去りにすること

 ーこれは虐待になりかねない!命に関わる。

▼子どもたちだけの自宅での留守番

 -共稼ぎが当たり前の現代,これを虐待とされてはたまりません。
▼未成年の高校生に小学生などのきょうだいを預けて買い物に出かける行為
 -いちいち子どもを連れて買い物に行くのは大変ですよ。

▼子どもだけ家に残してゴミ捨てに行く行為
 -うちの子どもは率先して一人でゴミを捨てに行っていました。

▼子どもたちだけで公園などで遊ぶこと

 -子どもの放課後の楽しみを奪わないでほしい。
▼子どもたちだけでの登下校

 -PTAは横断歩道の安全指導でさえ人員不足に悩んでいるのです。
▼子どもにおつかいさせる行為

 -「はじめてのおつかい」とかいうテレビ番組がありますが…。

 

私は40年以上塾で働いているが,これらの行為を全くしていない家庭もある。

もれなく資産家の家庭であり,共稼ぎではない。

 

私が小学生であった当時、習い事といえば、そろばん、習字、そしてピアノであった。

ほとんどの習い事は団地の集会所で開かれていたが、習字とピアノはバスだった。

 

当然児童だけで行動するわけで,これが今では「虐待」に当たるというのだ。

友達同士だけで公園で遊ぶことなど日時茶飯事であったし、

おうちのお手伝いとして,ゴミ出しや買い物など,学校で奨励していた。

 

この条例の問題点として,

こうした行為をしなくて済むような環境の整備が不十分であること

が挙げられていたが,もう一つ忘れてはならない観点があると思う。

 

多くの「虐待」は外ではなく,家庭の中で起きている。

「いじめ」と同じように,だれも見ていないところで子どもを殴ったり,

食事を与えなかったり,言葉によって精神的な苦痛を与えたり…。

 

親と一緒にしておけば,虐待が起こらないという発想がおかしい。

 

子どもとの関わり方がわからない親が多すぎるのではないか。

もちろん正しい関わり方というマニュアルがあるわけではないし,

そんなものがあったら偽物に違いないのだが…。

 

だいたい外国人がびっくりするほど治安のいい日本で,

このような条例がほんとうに必要かどうか,

よく考えてから法案をつくってほしいものである。