しばし現在に話を戻すことにする。

 

父が老人ホームに入った後,ある女性からハガキが届いた。

「連絡を取りたいのだが…」との内容。

 

父はいわゆるイケメンだったせいもあって,

女性関係の問題をしばしば起こしていた。

 

きな臭さを感じ,しばらく様子を見ようと放置していたのだが,

父の亡きあと,仏壇の中から出てきた祖母の戸籍謄本を見ていて,

その女性が父の従姉妹に当たることがわかった。

 

慌てて非礼を詫びる手紙を書き,しばし文通をしていたのである。

 

10月8日(日)に,沼津の寺で母の七回忌があることを知らせると,

ぜひ会いましょう!ということになった。

 

その方はNさんというのだが,その息子さんがTくん。

3歳ころまでいっしょによく遊んでいたのである。

 

そのときの写真がこれである。



1959年,私たちは1歳であった。

 

そのTくんとその奥さんが付き添いで車を出してくれる。

ほぼ60年ぶりの再会である。

 

父は自分の親戚関係について,ほとんど何も語らずに逝ってしまった。


Nさんは92歳。

おそらくもう何回も会えないであろう。


いろいろな謎が解けることの期待と、

どういう会話になるのかと不安に揺れつつ

その日を迎えたのであった。