私は思わず募集要項を持って、両親のもとに走った。
どうしよう…。
色覚異常は完全に遺伝の成せる技なので、
両親も呵責の念に駆られているようであった。
「でも、まぁバレなければいいんじゃない?」
という母の楽観論を打ちのめすように、
願書にはご丁寧に「色覚異常」の欄が設けられている。
これは、入学後に検査があることを暗示している。
ウソをついてバレたら最悪退学、あるいは除籍ということも?
関東近県の大学の願書も取り寄せてみたが、みな同じ。
絶望感に苛まれつつ、ウソをかくのはよくないという正義感が勝り、
私は正直に「第二色覚異常緑色盲」と書いて地元の大学に出願したのである。