それから約半年、いろんなことがあった。

ここまでのいきさつをここでまとめておきたい。

 

父の認知症の進行は、極めてゆっくりとしたものだ。

しかし、確実に進行していく。

毎日電話をしたり、週に一度帰って直接話をしていると、その変化になかなか気づかない。

 

変化は冷蔵庫から始まった。

レタスとりんごとヨーグルトとハムは、朝食の材料でもあり、今まで欠かしたことがなかった。

ところが、ある日、お腹がすいたというので「ヨーグルトでも食べたら」と蓋を開けてみると、

黒い塊が入っている。

まさしくカビだった。

 

いったいいつから放置してあったのか。

 

ハムもりんごも買っている様子がない。

それにひきかえレタスは山のようにある。

野菜室に入りきらないレタスは、とうとう冷凍庫にまで侵入し、シャーベットになっていた。

 

「もうレタスは買ってこなくていいぞ」と電話が来たのにも驚いた。

スーパーのお弁当も半分ぐらい食べて残していることがある。

ときには全く手をつけず、ベランダにそのまま放置していることもあった。

父に聞いても、知らないというだけである。