つづき
黒川相矢くんの見事な演技力によって喜久雄は天才役者になるべき人間と言うことは十分伝わるのですが、半次郎妻幸子のセリフにより確信を持ちます。
「真綿が水を吸い込むようやわ」
我が子俊介のライバルになるであろう喜久雄の才能を幸子でさえ認めざる得ないのです。
勉強のため、人間国宝の万菊(田中泯)の「鷺娘」を観るにあたり楽屋へ挨拶に行きます。
「きれいなお顔。でも芸をするのには邪魔も邪魔。顔に喰われるわよ」
この深いセリフ
顔ではなく芸を評価されるよう芸を磨きなさい、と言うことなのでしょうか
長崎から恋人春江も喜久雄を追って大阪へやって来ます。
俊介ぼんと喜久雄はふたりで女形になり、「藤娘」を演じます。
喜久雄は俊ぼんに連れられ京の花街に出かけ、舞妓の藤駒と出会います。
いよいよ大人になり、吉沢亮と横浜流星にバトンタッチ。
2人は半次郎による厳しい指導を共に受け、お互いに認め合い絆は寄り深まっていきます。
2人の女形は好評で取材が来たりで人気者。
真面目で地味な性格の喜久雄と派手でボンボン気質の俊ぼん。
ある日喜久雄は春江に結婚しようと言うも、断られます。
春江の喜久雄への愛は変わらずだが、喜久雄の才能を邪魔しないように日陰の女でいようと決意したのでしょうか
春江もまた背中に入れ墨がある身。
ミナミのスナックでもっともっと働き、喜久雄に劇場を作ってあげたいと語る春江。
そんなある日女形舞踏の中でも大曲中の大曲として知られる「二人道成寺」を任される。緊張する二人に半次郎が声を掛けるシーンも好きです↓
俊ぼん、アンタは生まれたときから役者の子や
他の子らと野球するのも我慢して稽古してきたはずや
何があっても、ちゃんとアンタの血ぃが守ってくれる
そいで喜久雄、アンタ、うちに来て何年や?
五年になるやろ
そのあいだ、一日でも稽古休んだことがあるか?
ないはずや
この道成寺かて誰よりも稽古してきたんやろ
せやったら、なんの心配もいらん
↑二人の表情にも注目です
このセリフにより落ち着いていくさまが伝わります。
そして舞台は大成功。本当に美しい
そんな中「曽根崎心中」の公演日をひかえた半次郎が交通事故に遭い全治一カ月のケガをしてしまう。
代役は息子俊ぼんではなく喜久雄を選んだ半次郎。
なぜ俊ぼんじゃないのかと詰め寄る妻幸子に
「何べんも言わせんな!」と一喝。
半次郎も本当は息子にやらせたいと言う気持ちが伝わるシーンです。半次郎もまた本物の役者でした。
二人の関係どうなっちゃうの?と不安になりましたが、派手でボンボン気質の俊ぼんですがほんと育ちがいいんです。
喜久雄は喜久雄でヤクザの父の血を受け付いてるがやはり品があってそこが少し不自然な感じもしますが、大親分はチンピ◯とは違うのだ、と思い勝手に納得。
(原作を読むとわかりますが育ての母マツが愛情を注いで育てたからこその喜久雄の性格なんです)
俊ぼんも喜久雄もきれいな心を持つ二人。
そのキャラクターもこの映画を好きになる理由かも知れません。
ちょいちょい二人の仲の良さが垣間見れるシーンがあって結構好きです。
そして次のポイント
いよいよ本番です。
「曽根崎心中」超有名な演目です。
実話をもとにした、当時庶民の恋愛物語などあり得ない時代だったので醤油屋息子と遊女の恋路の果ての心中は空前の大ヒット作です。
その曽根崎心中を演ずる前楽屋で喜久雄はプレッシャーの大きさに震えが止まりません。
そこへ俊ぼんが現れ喜久雄に化粧するシーン。
喜久雄の溢れる涙で化粧が進みません。
「守ってくれる血が俺にはないねん...
俊ぼんの血をコップに入れてガブガブ飲みたい」
このセリフ。難しいと思う。喜久雄のここの演技が凄すぎて忘れられない。震え方がリアルすぎて辛い
そして俊ぼんも泣きながら
「芸があるじゃないか!」
名シーンです!!(つД`)ノ
100回観たい
そして天才喜久雄は見事曽根崎心中のお初をやり遂げるのですが、観客席から観ていた俊ぼんは圧倒的な演技力の差を見せつけられ途中で劇場を出ます。遠目で俊ぼんの様子を見ていた春江も俊ぼんを追いロビーへ。
「逃げるんやない 本物の役者になりたいんや」
曽根崎心中クライマックスの手を取り合い死に場に向かうシーンと、俊ぼんと春江も手を取り合い雨の中へ消えるシーンが同時進行でここも見せ場。
芸しか見えない喜久雄から逃げる二人はどうなってしまうのだろう。
まだまだ続きます。そして感動シーンもまだまだありますがこの辺でやめておきます。
実は3回観ちゃいました
大好きな映画です。出会えて良かった。
パンフも買っちゃいました。