ご利用者さんに温かい言葉をいただいたです。ありがとうございます。
その日、チャイム鳴らして、合鍵開けて、こんにちは。奥の部屋から「来てくれたの?」の声がしました。
「やよいさん、こんにちは。」
「ぷくぷくちゃん、ずいぶん早く来てくれたのね?それとも、もう、夕方なの?」
「今月から、お昼に時間が変更となったんですよ。やよいさんにお昼を食べていただきたくて、時間を変えてもらったんです。」
やよいさん(仮名)は、90代。最近、腕や足に力が入りにくくなって、ベットから起きることがしんどい時が増えてます。
午後3時の訪問時に、朝も昼も食べて居られないことも増えたので、昼までにケアに入れませんか?と、事務所に相談と提案をしましたところ、主任が時間変更をしてくれました。
「起き上がるのお手伝いしましょうか?」
「ありがとう。トイレはね、意地でも、一人で行きたいから、必死でがんばってるんだけど、トイレに行って帰るだけで、それだけで疲れちゃってね。」
ベットに腰掛けると、小刻みに足や手が震えておられます。
電動ベットのレンタルもおすすめしています。電動ベットならば起き上がるのも楽だと思います。が、長年親しんだ家具を手放すことを、ためらうやよいさんです。
「温かいタオルで、お顔を拭いてくださいな。義歯も洗いました。どうぞ。」
「何かたべはりましたか?」
「バナナは半分、食べたわ。」
「パンにしますか?それともごはん?」
「パン焼いてくれる?それと、コーヒー飲みたいわ。」
「はい、ただ今。お任せくださいね。」
「パンの焼ける匂い、コーヒーのええ香り。お腹が空いてきたわ。」
「ゆっくり召し上がってね。」
そして、これも、とお出ししたんは、卵焼き。やや甘めがお好きなやよいさんには、お砂糖を入れました。
「卵焼きもトマトもお好きでしよ?
トマトは、皮を剥いて、一分だけめんつゆにつけました。卵焼きはお海苔入れてます。」
海苔はおろし金に乗せて、押さえて、で、傷をつけてから、軽く切り目をつける、もしくは、千切ってから、卵の上に乗せると、歯の悪い御高齢の方にも噛みやすいです。
嚥下の悪くなってる方にも、安全に海苔を食べていただけます。
「おいしかったわ。特に、卵焼き!」
「実はあ、粉チーズを加えました。カルシウム取って欲しくて。」
「わからんかったわ。」
「チーズは苦手と伺ってたので、わからんように入れてます。笑」
「医者も子どもたちも、牛乳とかチーズとか食べろって言うねんけどねぇ、どうも、苦手やの。でも…今日は、食べれたよ。」
「骨を守るため、これからも、こっそり入れますよぉ。」
夕食は、餃子とね、肉豆腐してます。
温めて食べてくださいね。
やよいさんが台所まで歩くのがしんどいようなので、ベットの横に、電子レンジを置いたんです。
一口でも多く食べてください。
やよいさん、にっこり。私もにっこり。
「ぷくぷくちゃん、今日もありがとう。あなたが居るから生きられるわ。」
「この年まで生きたし、悔いはないの。早く主人のとこに行きたいと思うわ。せやけど、あなたの顔を見てね、ごはんを食べるとね、また今日も生きたなあって、思うん。明日も、ヘルパーさんが来てくれるかなあ、って、楽しみにするんよ。
あなたたちヘルパーさんが来てくれるから、今日も生きられたよ。ありがとう。」
「優しい言葉をありがとうございます。」
「ほんまよ、今日もありがとう。」
「こちらこそありがとうございます。」
涙を浮かべるやよいさんのお背中をさすりました。
「総菜やさんでね、筍の炊いたん、出てました。旬ですね。」
「筍!好きよ。入れ歯でも大丈夫よ。」
「では、次回は筍の炊いたんを、それと、お好きな里芋の炊いたんも、買ってきますね。」
「あんたが筍や言うからぁ、死ねんようになるやんかぁ。」
「やよいさんの笑顔が大好きです。私の癒しです。」
「やよいさんの行ってはるデイサービスの前にね、オキザリスがきれいに咲いてます。次のデイサービスの日にみてくださいな。」
「ですよ。人類最高齢を目指してくださいな。」
やよいさんにっこり。私もにっこり。
「また来てね。待ってるね。」
「必ず伺います。」
指切りげんまん。
次も優しい笑顔を見せてください。
いついつまでも、おかわり無く、お過ごしください。