「私、宝くじ買います。当たったら、アイデイサービス(仮名)のみんなで、USJに行きましょうよ。」
先日、ご利用者さんのお一人のあきちゃん(仮名)がUSJに行って来ました。あきちゃんは、何日も前から、USJに行くんや!と、指折り数えて楽しみにしてました。
ご利用者さんの多くが羨ましがりました。障がいをお持のご利用者さんたちは、ご家族の愛情たっぷりの環境で お暮らしの方も多いです。が、ご家族と一緒にお暮らしの方ばかりではありません。ご両親がお亡くなりになってしまったり、ご両親が高齢になられたり、諸事情等で、施設でお暮らしの方もいます。
ご利用者さんの多くは、ガイドヘルパーと共に、外出することもありますが、遠出は、時間的にも できない方も多いです。USJに行ける方ばかりでは無いです。USJに行ったことの無い方もいます。社会的後見人さんが障がい年金をやりくりしても、
経済的に困難な方もいます。
「ジョーズ、怖かった!」
「スヌーピーかわいい!」
あきちゃんは、思い出しては、楽しそうに何度も言いました。あきちゃんは、記憶がすぐに消えるんです。あんまり憶えてられないご病気です。普段は、午前中に行ったことは、午後には記憶から消えてます。
そのあきちゃんが、USJのことを何度も何度も言うんです。よほど印象に残ったんや、と、思います。
うらやましそうなお顔をしたご利用者さんもいました。 そのお顔見てると、切なくもなる私です。
「みんなで一緒に行きたいね。私、宝くじを買ってみようかな。」
昼休みに職員さんたちに云いました。
「ぷくぷくさん、宝くじ買うん?」
「宝くじが当たったら、みんなにUSJのチケットをプレゼントしたいな。」
職員さん、みんな、それ、ええなあ、行きたいな~って云うてくれました。
「連番よりも、バラのほうが当たりやすいってよ。」
「◯◯駅のところ一等賞が出たって」
「車椅子の方も、貸し切りバスなら行けるよね。」
「ご利用者さんは割引チケットで、付き添いのヘルパーも割引になりますね。」
早速、若いヘルパーさんが電卓片手に計算してくれました。それによると
ご利用者さん20人と付き添いヘルパー20人 一人五千円として、チケット代金が20万円。それに貸し切りバスが、15万円。それとお昼ご飯代金10万円で合計45万円!
「すごい大金ですね。」
「だからこそ、当たりたいね!」
「百万円当たったらお土産代も出せちゃうね。 」
「冬は体調管理が難しい人も多いから、あたたかい春に行きたいですね」
◯◯ちゃんは、キティちゃんだいすきやから会わせてあげたいね。あ、エルモは、✕✕君が好きね。 あれやこれやと職員さんたちとワイワイ、それも楽しかったです。
みんなで同じ思い出を作れたらなあと、思います。
職員さんたちと夢を語り合ったその日の夕方、ガイドヘルパーとして あきちゃんと公園へお散歩に出かけました。
「ふーん。」
「いちょうの葉っぱで、ブーケを作りましょ。」
今SNSで流行ってるという、いちょうの葉っぱで、薔薇の花、というか、ブーケを作ってみました。
「ふーん。」
あきちゃんはいろんなことに興味を持ってくれるんだけど、その日は、あんまり、植物に関心がなかったです。
だけど、いちょうの葉っぱを集めて、ていねいにブーケというか、薔薇の花を作ってくれました。
「上手やね。」私が言うた時でした。
「ジョーズ!怖かったよ。」
え?あ、上手やなくて、そっちのジョーズね。
「USJに行ったよ!お父さんと行ったよ!」
「ジョーズ怖かった!」
「スヌーピー、かわいい。」
あきちゃんは、その日も、楽しそうに話してくれました。
みんなの笑顔がみたいな。ボクワーツのお城の前でみんなで記念写真が撮りたいな。
神様、宝くじ、当ててください。
そう、思いました。