今朝も雪の大阪でした。火曜日の夜から、雪が降ったりやんだり4日も続いてます。寒いわあ。ですが、お日様が出てるとキラキラしてきれいです。
朝九時、Mヘルパーから電話がありました。
ずいぶん凹んでました。
昨年から介護のお仲間になってくれたMヘルパーは、小学生のお子さんを持つ若い30代です。
今朝お子さんにせがまれて一緒に雪だるまを作ったそうです。(懐かしいわ。うちも昔子供と作ったわあ。)彼女は雪をあさこさん(仮名)に少し持って行きました。ビニール袋の雪で小さな雪だるまを作りました。
一年中、家の中で、しかもベットの周りで過ごすあさこさんに季節を感じてもらいたかったそうです。
↑こんなふうに、小さなお皿に雪だるまを乗せてあさこさんにお見せしたそうです。
あさこさん、めっちゃ、機嫌が悪くなったそうです。
「ニュースで雪がふってることは 知ってるわ。わざわざ雪を持って来なくたって。あなた!こんな寒い時に来てもらってすいません、とでも、言うてほしいの?」
M「そんなつもりは全くありません。」
「私が生きてると迷惑ですね? でも、身体が悪いと、自殺もできません。ベランダの柵を越えて落ちることすらできないです。」
と、あさこさんは言い放ったんだそうです。
あさこさんなら言うやろなあ。
けど、若いヘルパーさんに辛辣に言いすぎちゃう?と私は思います。
Mヘルパーは涙ぐんでました。
M「義歯も洗浄させてもらえなくて、おむつも自分でできるからあんたなんか帰って、と。させてくれませんでした。今日のあさこさんの夕方のケアは、ぷくぷくさんですよね?なので、電話して謝りたくて。今朝、食事の支度もあまりできなくて。菓子パンとカップ麺を用意しただけです。夕方にご迷惑をおかけすると思います。すいません。」
新米ヘルパーを自分のテリトリーのベッド周りに寄せつけないのよ。彼女は。そう言うことするから、ヘルパーさんになりたがる人がおらんのよ。
「まず食事のことやけど。菓子パン、カップ麺、あさこさん、大好きやで。喜んではるよ。夕方に、なんかお好きそうなものを買って行きますね。」
「次に、あなたのあさこさんに季節を感じてもらいたいと思う気持ち。ありがとうございます。優しいね、Mちゃんは。
ただ、あさこさんが雪だるまを素直に受け止められないのは、何か理由があったのかもね。
5年通ってても、私にはあさこさんは難しいです。お心に寄り添いたいと思うおけれど、お心を見せてくれないからね。
ロシアとの国境近くの満州国であさこさんは生まれてるから、冬は極寒よね。寒さや雪で苦労されたのかも。お父様はソビエト兵に連行されてシベリアの収容所に送られたし、お母様は丸坊主に頭を刈って男の軍服姿で紐であさこさんと妹さんを胴体にくくりつけて、必死の思いで、ハルピンから汽車にのり、苦労して苦労して、船に乗ってようやく日本にたどり着いたのよ。
だから、もしかして、もしかして、雪は、嫌な思い出なのかもね。」
M「知らなかったです。ごめんなさい。」
「私の推測は的外れかもしれんよ。単に機嫌が悪かっただけかも。最近、便が出にくくて、たまに出ると出血してるから、お尻が痛かっただけかも。
ね、言うてくれんとわからんからね。」
ほんでね。
ヘルパーは、コートは、バイクのカゴに丸めたり玄関の隅においてるよね?書類入れてる鞄もできるだけ玄関の隅っこに置くでしょ?
それは、コロナ禍やからよね?
M「はい。万が一、ヘルパーのコートにバイ菌が、着いてたらあかんから、玄関の隅っこに起きます。」
「ね、そうよね。雪も万が一の菌がついてたらあかんから、コロナが治まるまでやめとこ。零度以下の雪にバイ菌がつくとは考えにくいんやけど、高齢の方やからね。」
M「わかりました!気をつけます。」
「私ならあなたのような優しいヘルパーさんに来てもらいたいわ。うちが後20年、年取ったらMちゃん、頼むよぉ。来てよ。私には、雪でも、桜でも、たんぽぽでもなんでも持って来てほしいわ。
んで、あさこさんの今日のことは、忘れよし。 切り替えて、リセットよ。
次の訪問はどなた?
M「○○こさんです。」
「○○子さん、お優しいから、癒されておいで。」
でね、後でLINEみてね。
今日も咲いてくれてる桜を送ったよ。
あなたもええ花咲かせてね。と、祈ってます。
○○町の郵便ポストの近くで年中さいてる桜があるんよ。四季桜やて。
雪にも負けず咲いてくれてるよ。今朝の写真を送ったよ。
これ見て元気だしてね。
「これからの介護業界は、あなた方若いお人がリードしてくれて行ってくれると思ってます。長くお勤めしてくれることを願ってます。
だから、辞めないでね。これからもよろしくね。
いろんなことがあったら、いつでもおばちゃんに言うてね。」
M「また相談します!では○○子さんに行きます!」
んで、夕方。
あさこさんは、パジャマ脱いで、下着姿でした。
「私は満州育ちですから、寒くないです。」
テレビ見ながら、ご機嫌斜めです。
満州育ちで、国が消滅する体験をしたあさこさんは、国を信用してません。
紙幣がある日突然紙切れになった経験したからでしょう。
壮絶な苦しみは、私には想像もつかんです。
あさこさんの腹立たしさは、だれに向かっているのでも無いのです。愚かな戦争をし傀儡の国満州国を作った日本国、軍人に向けられているのかもしれません。
あさこさん、夕方も、岸田総理はじめ政治家のみなさんに毒づき、テレビに、出てくる、いろんな方々に毒を吐きます。
そうそう、あさこさん、その調子です。
そうやって、あなたは、世間に腹を立てることで、鼓舞して、生きて来られたんやと推測してます。男なんてしょーもない!だから結婚なんてしなかった。
引き揚げてきたお母様の故郷の大阪はあさこさんには故郷ではないんです。
人は信用なんてしたらダメ!
銀行も信用したらダメ!
自分だけよ、信用できるのは。
そうやって、働いて80歳近くまで働き抜いたあなたを私はすごいと思います。
そうです。あさこさん、その調子です。
朝のヘルパーが用意したポカリをオムツに捨てて白ワインをこっそり飲めるなら大丈夫。
元気で文句を言うあさこさんに、安心する私でした。
あさこさんとこ出て、歌いたくなったんは、パフィ。
これが私の生きる道。